高市早苗氏が、自民党総裁選で総裁に選出された。これを受けて、6日には、日経平均が終値で前週末比2175円高の4万7944円となった。
高市ラリーはその後も続いている。高市総裁になれば株が上がると分かっているのに、証券会社に雇われているエコノミストが高市「推し」ではないのが不思議である。高市トレードで、株高と円安が進み、財政拡大と円安でインフレになり、長期的には株価も持たないと解説する人もいるが、筆者の知る限り、そんな長期のことを考えている市場のエコノミストは見たことがない。
総裁選で議論されなかった「政府債務残高のGDP比」
長期のすべての変数を議論すると話が長くなるばかりなので、高市新総裁の財政政策が財政を悪化させるものか考えてみたい。高市総裁は、財政に関して、「政府債務残高の対国内総生産(GDP)比を低下させる」と述べている。
実は、これは自民党総裁選で、茂木敏充氏、小泉進次郎氏も述べたことである。その他2人の候補者が言っていない政策だったので、それが何を意味するかをもっと議論してほしかったが、そうはならなかった。野党もこの指標には何も言っていないようだ。
まず、「政府債務残高の対GDP比を低下させる」は優れた指標である。財政赤字は1年の指標だから、良い時も悪い時もある。財政赤字から金利払いを除いた基礎的財政収支でも同じである。債務残高は長期的なものなので、国の長期的な財務状況を見るには適切な指標だろう。
