大阪・関西万博が13日に閉幕する。前売り券など開催前は苦戦を強いられていたものの、国内外から多くの人が駆け付け、盛り上がりを見せた。
ただ、大阪の発展や成長はここで終わらないだろう。地域としての魅力や盛り上げようとする動きがあるからだ。
〝大阪の力〟が見える記事5本を紹介する。
〈目次〉
・“なんでもあり”が最大の魅力!大阪生まれ東京育ちの「バイリンガル」な大阪大学名誉教授が語る私的・大阪論(2025/04/23)
・飛び出す寿司に金龍ラーメン...大阪・道頓堀を彩る立体看板はこうして生まれた 「半分働いて半分遊ぶ」がモットーの“自然体”のものづくり(2025/05/06)
・「おもろい」「がめつい」「ど根性」…ステレオタイプ化した大阪イメージはいつまで続くか、吉本興業がカギを握る!?(2025/06/14)
・万博に沸く大阪、「お好み焼き・焼きそば・たこ焼き」店舗数は東京の何倍か?お笑い文化にいくら支出しているか?経済統計で見る「商いの街」の実像(2025/04/21)(2025/06/04)
・「大阪を、日本を再び元気に!」大阪人・安藤忠雄が大いに語る “民がつくる街”のスピリット
“なんでもあり”が最大の魅力!大阪生まれ東京育ちの「バイリンガル」な大阪大学名誉教授が語る私的・大阪論
1958年大阪府生まれ。大阪大学理学部生物学科卒業後、同大学医学研究科中退。ドイツ留学ののち、96年大隅良典先生が国立基礎生物学研究所にラボを立ち上げた時に助教授として参加。その後、大阪大学医学系研究科教授などを歴任。(写真・生津勝隆以下同)
話を聞けば聞くほど、面白い──。この人にはそう思わせる魅力がある。
大阪大学名誉教授・吉森保さん(66歳)は、2016年ノーベル生理学・医学賞を受賞した東京科学大学(旧・東京工業大学)栄誉教授・大隅良典さんの一番弟子。体内で不要なたんぱく質などを分解し、リサイクルする現象「オートファジー(自食作用)」研究の第一人者だ。
吉森さんは、高校まで東京、大学から阪大へと進んだ。大阪愛はとてつもなく深い。
「大阪らしさを考えるには、大阪大学創設の経緯やその存在自体が切り口になりますね」
取材の冒頭、吉森さんはこう言った。いったい、どういうことなのか……
続きを読む⇒
“なんでもあり”が最大の魅力!大阪生まれ東京育ちの「バイリンガル」な大阪大学名誉教授が語る私的・大阪論
飛び出す寿司に金龍ラーメン...大阪・道頓堀を彩る立体看板はこうして生まれた 「半分働いて半分遊ぶ」がモットーの“自然体”のものづくり
壁から飛び出した握り寿司、くねくねと壁をはう龍、上から見下ろす巨大なタコ──。ユニークな立体看板がひしめきあう道頓堀には、いかにも〝大阪らしい〟景色が広がる。
「ある日突然、得意先から『道頓堀の金龍ラーメンさんの立体的な龍を作ってほしい』と言われたんです。最初は断りましたが『なんとかなる』の精神で引き受けたんです」
立体看板を製作するポップ工芸(大阪府八尾市)初代社長の中村雅英さん(75歳)は、1990年代初頭に初めて立体看板を製作した時のことをそう振り返る。今では道頓堀の立体看板の約8割が同社製だ……
続きを読む⇒
飛び出す寿司に金龍ラーメン...大阪・道頓堀を彩る立体看板はこうして生まれた 「半分働いて半分遊ぶ」がモットーの“自然体”のものづくり
「おもろい」「がめつい」「ど根性」…ステレオタイプ化した大阪イメージはいつまで続くか、吉本興業がカギを握る!?
「おもろい」「がめつい」「ど根性」。こんな言葉ですぐに思い浮かぶのが大阪。
ステレオタイプだが、それが「大阪」イメージとして定着している。
いつから、なぜ、という問いに、「戦後、高度経済成長期に、メディアによって取り上げられた〈河内〉と〈船場〉のイメージが、強調、合成、変形してそうなった」と、具体例を挙げて解析したのが『河内と船場 メディア文化にみる大阪イメージ』(ミネルヴァ書房)である。
サントリー財団の助成を受けた研究事業であり、7人の若手メディア研究者の執筆を取りまとめたのが編著者の山本昭宏さんだ……
続きを読む⇒
「おもろい」「がめつい」「ど根性」…ステレオタイプ化した大阪イメージはいつまで続くか、吉本興業がカギを握る!?
万博に沸く大阪、「お好み焼き・焼きそば・たこ焼き」店舗数は東京の何倍か?お笑い文化にいくら支出しているか?経済統計で見る「商いの街」の実像
大阪・関西万博は「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに、2025年の4月13日から半年間開催されている。開催前も開催後も様々な話題を呼んでいるが、今回はこの万博を機に、経済・社会統計をもとに全国における大阪経済、大阪文化の位置づけを考えなおしてみたい。
大阪万博でよく取りざたされた話題は開催費用が当初に比して、かなり高額になったということである。経済産業省公表資料によれば、大阪万博の費用は20年12月時点で1850億円と試算されていた。その後、建築資材高騰・労務費の上昇等のため、23年10月時点では2350億円と増額した。
これは設備、運営、誘致などに充てられる「直接費用」であって、周辺のインフラ整備まで含めると9.7兆円という膨大な費用が投入されている。なお、整備されたインフラなどは万博終了後も引き続き社会資本として残り、その一部は統合型リゾート(IR)に活用される……
続きを読む⇒
万博に沸く大阪、「お好み焼き・焼きそば・たこ焼き」店舗数は東京の何倍か?お笑い文化にいくら支出しているか?経済統計で見る「商いの街」の実像
「大阪を、日本を再び元気に!」大阪人・安藤忠雄が大いに語る “民がつくる街”のスピリット
日本建築学会賞を受賞した「住吉の長屋」を始め、直島の一連の美術館や「光の教会」、「表参道ヒルズ」などを手掛けた安藤忠雄さん(83歳)は、淀川近くの下町で育った生粋の大阪人だ。高校卒業後に独学で建築を学び、今や世界で活躍している。
そんな安藤さんの拠点は一貫して大阪だ。
「仕事の8割が海外プロジェクトなので、事務所を東京に移してはどうかと言われます。でも、私の原点は大阪であり、生きていくために必要な人間関係のベースがある。そもそも社会のレールから外れた所でスタートした人間が建築家として立つことができたのは、大阪の度量の深さがあったからこそです」
自分を育ててくれた大阪──。安藤さんはどんなところに魅力を感じるのか……
