「おこめ券」の配布
価格への対応として鈴木農水大臣は「おこめ券が今すぐにできること」と、検討する姿勢を見せた。「必要な地域において、すでに重点支援(地方)交付金で対応しているところもあり、そうした地域をこれからも物価高対策の中で後押ししていく」とした。
現在、「おこめ券」として流通しているのは、いわゆる「金券」に他ならない。一応、コメ500円/kgと称しているが、現物の特定のコメ引換に裏打ちされているわけではない。
価格が見合わなければ「追加料金」が必要で、他の商品に替えることもできる。したがって、「おこめ券」は、パン、麺、パスタも買えるし、ときには缶ビールの小缶2本にもなる。
そうであれば、石破茂内閣時代に検討された現金給付政策と何ら違いがない。それと違えるとすれば、実効性ある制度設計はなかなか難しく、また財源の裏打ちをどうするのか。「自由に使える地方交付金で」とも報じられているが、規模はどの程度か、足りるのか。
いずれにせよ、実効性・財源両面から、行く道には大きな困難が予想される。よくよく考えてかからなければならないと思う。
日本維新の会のコメ政策
連立を組んだ日本維新の会が参議院選挙で掲げたコメ関連の公約は次の通りである。高市内閣が示した方向性との相違が見える。
① 生産量を1.5倍に増やす (増産路線)
② 輸出を大幅に増やす
③ セーフテイ・ネット対策の強化(自民党では、2027年からの検討事項)
④ コメの関税を一時的に大幅に引き下げ (=輸入量が増える=コメは不足している)
コメの関税引き下げについて、鈴木農水大臣は「コメは唯一と言っていいほど日本で需給ができて、生産基盤も含めて見れば、自給率100%を超えることのできる大切な基幹作物であり、主食。輸入米を今の時点で何か活用する、主食用に活用するということについては、考えるべきではないというふうに考えている。維新とはしっかり議論をしていきたい」とコメントしている。
連立政権を樹立する合意書には、「すべての田畑のフル活用」と「閉鎖型の植物工場、陸上養殖への投資拡大」が盛り込まれているという。
「議論する」とは言うものの、連立であるがゆえにぶつかる懸念もある。一つの心配事になり得る。
