2025年12月5日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2025年11月10日

 ウォールストリート・ジャーナル紙の10月23日付け解説記事が、10月22日に発表された米国によるロシアの2大石油企業への制裁に関し、ついにトランプ大統領は忍耐の限界に達したとして、トランプがプーチンに対する姿勢を徐々に厳しくしていった経緯を紹介している。

( Contributor /Barks_japan/gettyimages・ZUMA Press/アフロ)

 10月22日発表された、ロシアの2大石油企業ルクオイル、ロスネフチに対する制裁は、第2次トランプ政権下で米国がロシアに対し直接的に講じた初の措置となる。「時が来たと感じた。長い間待った」とトランプ大統領は後に記者団に語った。

 トランプ大統領は数カ月にわたり、こうした措置をちらつかせてきたものの、プーチン大統領とはディールできると信じ続け、その度に脅しは消えていった。この姿勢は、米国と欧州の政策立案者を長らく苛立たせてきた。

 しかし、米当局者によると、トランプ氏はプーチン氏が自分を引きずり回していると結論付け、またウクライナにおけるロシアの攻撃映像を何度も目にしたことで、ついに忍耐の限界に達したということだ。ブダペストで予定されていたプーチン氏との首脳会談を時間の無駄と断じて中止した数時間後、ロシアはウクライナに対し新たなミサイル・ドローン攻撃を開始し、幼稚園を含む複数の建物を攻撃した。

 米当局者によれば米国は、トランプ大統領が行動を起こした場合に備えて、ロシアの石油産業に対する制裁措置案を数カ月前から作成し、準備を整えていた。彼らによると、トランプ大統領には、①ロシアの産業と高官を直接標的とする厳しい選択肢、②ロシアのエネルギー産業を標的とする中程度の選択肢、③より限定的な制裁を含むより軽い選択肢、の3つの制裁案が提示されていた。トランプ氏は中間の選択肢を選んだ。


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