2025年12月15日(月)

オトナの教養 週末の一冊

2025年11月8日

 憲政史上初の女性首相として高市早苗氏が10月21日に就任した。就任直後から外交デビューも果たし、日米、日韓、日中と重要な首脳会談を短期間で一気にこなした。高市氏の明るいキャラクターも相まって、良いスタートを切ったと言えるだろう。

(首相官邸HPより)

 10月24日の衆参両院での所信表明演説は経済重視の考え方を強調し、積極的な財政出動を行う方針を示した。また戦略的な物資の取り扱いなど経済安全保障についても言及した。

 この演説のバックボーンとなっているのが、高市氏がまとめ上げた本書『日本の経済安全保障 国家国民を守る黄金律』である。他国による武力行使が国の安全保障の脅威となるように、対外経済関係でも日本は有形無形のリスクに晒されている。

 経済安全保障とは、様々な経済活動に伴う多くのリスクから日本の国益を守るという考え方である。本書には高市氏が時間をかけて蓄積した問題意識が多く詰まっている。

 読み進めると、いかに日本が経済的なリスクに直面し、狙われているのかがわかる。本書前半でサイバー攻撃をめぐる様々な事例が紹介されるが、被害は大企業や中小企業、都市部や地方を問わず、全国で起こりうることを再認識させられる。

 医療関連では、地方の小さな病院まで狙われており、カルテが閲覧できなくなるなど、深刻な影響を及ぼしている。被害を受けた多くの企業や組織で日常の業務環境が破壊され、大きなダメージを受けている。

 こうしたことを防止するためにどうすればいいのか、という問題意識で本書は貫かれており、日本経済をいかに守り、成長させていくかという点に力点が置かれている。


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