2025年12月25日(木)

韓国軍機関紙『国防日報』で追う

2025年12月25日

 今回の会議で注目すべきは、「韓国が朝鮮半島の通常兵器防衛において主導的役割を担う」という文言が初めて公式声明に盛り込まれた点だ。トランプ政権が求める同盟国の負担増と、韓国の安保主導権強化が見事にかみ合った。さらに26年前半に第6回会議を開くことも決まり、NCGが持続的な協議体として定着していく道筋が見えてきた。

日本の核保有論議と日米拡大抑止協議の現実

 日本の官邸幹部が12月18日、非公式の場で「私は核を持つべきだと思っている」と発言し、波紋が広がった。北朝鮮の核・ミサイル開発と中国の軍事的台頭という安全保障環境の激変を背景に、日本国内でも「核抑止」をめぐる議論が水面下で熱を帯びつつある。

 では、日本には米韓のNCGに相当する枠組みがあるのか。実は「ある」のだ。

 それが10年から続く「日米拡大抑止協議(EDD)」である。米韓NCGが23年生まれの「核特化」協議体であるのに対し、日米EDDは15年の実績を持つ。核だけでなくミサイル防衛や通常戦力を含む包括的な枠組みだ。

 25年12月10日から12日に東京で開かれたEDDでは、日米の外務・防衛当局幹部が核戦力の可視化やミサイル防衛との統合について議論した。日米間では近年、核使用を想定した机上演習を実施しており、24年末には「日米拡大抑止に関するガイドライン」が策定された。平時、危機、有事の各段階での情報共有や意思決定プロセスを文書化し、「米国の核運用に日本がどう関与するか」という曖昧だった部分にルールを設けた画期的な合意だ。

25年6月に行われたEDD(外務省HPより)

 もちろん日本は核兵器を保有・配備するわけではない。米国の核運用の「計画と協議」に関与する度合いを強めているに過ぎない。25年6月のEDDでは日本側代表団が米国でB-52戦略爆撃機を視察するなど、現場レベルでの"見える化"も進んでいる。

 このように北東アジアの安全保障情勢が緊迫する中、米韓NCGと日米EDDの連携強化が急務となっている。官邸幹部の核保有発言は現実的な抑止力強化の議論とは一線を画すべきだが、日本が直面する安全保障上の難題を改めて浮き彫りにしたことは間違いない。

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