党内には早期解散への慎重論も
しかし、就任早々、ご祝儀気分の中での総選挙が勝利に結びついたかといえば、必ずしもそうとばかりは言えない。
首相の前々任、岸田文雄氏は21年10月の官邸入り直後、衆院の任期満了が間近に迫っているにもかかわらず、あえて解散に踏み切った。自民党は予想された敗北を免れ、議席減を最小限に食い止め、政権はその足場を固めた。
狙いを的中させたケースだが、24年10月の選挙は裏目に出てしまった。5度目の挑戦で首相の座を射止めた石破茂氏は、「新政権が発足するのだから信を問うのは憲法の趣旨」と大見えを切ったものの、政治とカネの逆風もあって、歴史的な敗北。衆参両院での自民党の過半数割れは今日まで続いている。
任期いっぱい解散せずとの憶測も
政治とカネの問題などをめぐって、自民党への逆風はなお収まる気配はみえない。加えて首相の人気に自民党の支持率がかならずしも連動していないこともあって、党内には、「今、選挙を戦っても勝てる保証はない」という厳しい見方も少なくはない。
高市首相の自民党総裁任期は、石破前首相が任期途中での退任であったため、27年秋まで。それまで政策課題に専念、力を蓄え2年後に再選されるのを待ち、満を持して選挙に臨むのではないかとの観測も党内で広がっている。
首相の盟友、古屋圭司選対本部長は「首相は仕事師。思い入れの強い政策で国民から評価され、いいタイミングで解散に打って出るのではないか」(12月21日、岐阜県での記者会見)との観測を明らかにした。
日経新聞の調査で「早期解散の必要はない」と答えた人が57%にのぼったのも追い風になろう。
個別政策だけでなく大きな構想も示せ
解散・総選挙は政策課題に専念して時期を待つというのは正攻法の一つだ。その場合、個別政策はもちろんだが、首相自身の言葉を借りれば〝そんなことより〟高市政治の基本哲学に基づいた日本国将来の青写真のような大きなプランを示すことも必要だろう。
少子高齢化、人口減少、ITによる産業革命を凌ぐ技術革新、侵略国の跳梁など内外の変化を受けて、高市首相は、日本をどこへ導こうとしているのか。経済大国の復活か、政治大国としての国際社会への進出か――。
首相就任直後、10月の所信表明演説を聞いてみても、明確のビジョンは伝わってこなかった。「責任ある積極財政」は、結構としても〝そんなこと〟以上のことを聞きたかった国民は少なくあるまい。
