2026年1月10日(土)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2026年1月9日

 第四に、移民対策や犯罪防止のための強引な諸施策が逆に新たな社会不安を引き起こす可能性もあり、極右ポピュリストのカストに効果的な取り締まりと人権尊重等民主主義諸制度との両立が図れるのかという不安もある。議会において、カストの与党は単独で過半数を有してはおらず、政治的安定を確保して公約の実施を図るには、中道派政党との連合を形成する必要があるが、そのような円滑な協力関係を築けるかも重要な課題となろう。

米中の狭間でどう動く

 外交面では、対米関係において、トランプは、カストを自らの盟友として好意的に対応するとみられ、経済面でもカスト政権は、エルサルバドル、アルゼンチン、エクアドル、グアテマラ等と並んで、貿易関係を含めて連携を深める域内ネットワークの一員として歓迎されるであろう。カストも特にレトリック上はトランプとの関係親密化に呼応するであろう。

 他方、チリは、貿易や投資の面で中国との関係が既に緊密化しており、中国向けの銅、リチウム、農産品の輸出のシェアが高く、自由貿易協定(FTA)も締結しており、中国排除が1つの目的でもあるトランプ版モンロー宣言との関係で、対中関係への影響が注目される。トランプが中国の排除にこだわるのは、特に軍事、インフラ、資源、通信などの戦略分野であり、カスト政権もこれらの分野での中国との関係を見直し、調整するのではないかと思われる。しかし、カストは自由貿易主義者でもあり、中国との一般的な貿易関係は維持し、対米及び対中関係のバランスを取ることに腐心するであろう。

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