米軍がイラクなどに侵攻した過去の実例を間違いだとするトランプ氏は「他国の体制転換などはしない」と介入に距離を置いてきた。介入すれば、支持基盤のMAGA(米国を再び偉大に)派から大きな反発を食うことになるだろう。11月の中間選挙を前にしたトランプ氏としては悩むところだ。
ベネズエラ攻撃を通じたメッセージ
イランの体制が崩壊した場合、受け皿として取り沙汰されているのがパーレビ王政時代の皇太子だったレザ・パーレビ氏だ。米国在住のパーレビ氏はトランプ大統領に介入を訴えているが、大統領は同氏と会おうとしていない。「現時点では後継者として適任とは必ずしも言えない」などと否定的だ。
中東専門家らは大統領のこの対応に「ベネズエラを教訓にした1つのメッセージだ」との解釈を与えている。ベネズエラでは、マドゥロ大統領が米軍に排除された後、ノーベル賞受賞者で野党指導者のマチャド氏ではなく、副大統領のロドリゲス氏が暫定大統領に就任した。事実上、トランプ氏の思惑が反映された人事だとされる。
メッセージは「ベネズエラを見ろ。ハメネイを排除すれば、取引の用意がある」(中東専門家)というものだろう。つまりはイラン指導部がベネズエラの生き残り戦略をまねて、ハメネイ師を排除すれば、トランプ氏が現指導部の存続を許し、対イラン制裁を緩和。米石油企業のイランでの活動を復活させ、ひいては経済的な疲弊から再建できるような取引に応じることを示唆しているのではないか。
英紙タイムズは最近、ハメネイ師一族がロシアへの亡命を模索していると報じた。シリアのアサド一族のロシア亡命を参考にしていると伝えられているが、米軍とイスラエル軍の攻撃が近づいているとされる中、トランプ氏のハメネイ排除のシナリオは妙に現実味を帯びている。
ホワイトハウスのレビット報道官は12日、「我々はイラン政府が公式に言っているのとは全く異なったメッセージを受け取っており、大統領はこれに関心がある」などと述べ、水面下でイランとの外交的な駆け引きが激化していることを明らかにした。イランの核開発をめぐる交渉は昨年6月の「12日間戦争」以来、ストップしている。
