2026年1月20日(火)

Wedge REPORT

2026年1月20日

 円安は輸入インフレとなって日本経済を直撃する。

 リフレ派学者の代表的な論者だったエール大学名誉教授の浜田宏一氏は、1月の日本経済新聞で「アベノミクスを採ったときとは、経済環境が違いすぎる。円高に押し上げるぐらいの利上げをすべきだ」と現状分析し、利上げで円高に誘導するよう求めている。

動きの鈍い日銀

 高市首相も浜田氏の主張を理解すべきだが、他のリフレ派学者の影響が強く、「財政拡張と金融緩和政策の継続が有効」と信じ込んでいる。困ったことは高市首相に遠慮しすぎ、植田日銀総裁の利上げへの動きが鈍いことだ。

 日銀には利上げペースを上げる気配はなく、通貨安、債券安の「ダブル安」を生み出している。長期金利の代表と言える10年物国債の利回りは、高市政権発足直後の1.65%から、足元は2.2%台まで上がっている。日銀幹部OBの中にすら、「ビハインド・ザ・カーブ(経済状態の変化に対し金融政策が後手に回っている)」との批判的な声が秘かに広がっている。

植田総裁の利上げへの動きの鈍さに、日銀内でも不満がくすぶる(gyro/gettyimages)

 円安も債券安(利回り上昇)のどちらも、日銀がもっと積極的に利上げを実施していれば、防げたはずだ。株価の異常高もマネーの増加を抑え、ある程度は阻止できただろう。

 昨年1月に利上げしてから、次の利上げが12月というのは間隔が空きすぎている。日銀のもともとの目論見では半年に一度0.25%ずつ上げていく心づもりだったはず。

 トランプ関税の騒ぎが昨年4月から始まり、7月まで続いた。だから、昨夏の利上げは見送らなければならなかった。とはいえ、昨年10月の政策決定委員会での利上げを見送ったのは、高市政権の発足直後で了解を得られていなかったからだった。

世界から取り残される懸念

 政権への遠慮は先進国の中央銀行との足並みの乱れにまで及んでいる。欧州中銀のラガルド総裁の主導で、各国中銀トップは連名で米国のトランプ大統領への批判の文書を発表した。だが、そこに植田総裁の名はない。文書は、トランプ政権が実施しようとしているパウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長への刑事訴追の動きを批判したものだ。

 同様の声明はグリーンスパン、バーナンキら歴代FRB議長も発しており、いわば中銀業界でのコンセンサス。植田総裁が名を連ねたところで、トランプ政権から意地悪をされるような状況ではない。

 だが、植田日銀は片山さつき財務相に名を連ねてもいいかお伺いを立て、その拒否にあって見送った。アジアの中銀では、韓国銀行総裁がいち早く署名し、インドネシアやタイなど東南アジア諸国連合(ASEAN)諸国の中銀総裁も後から署名に加わった。日銀総裁が署名しないのは異様だ。


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