昨年12月28日のゼレンスキーとトランプとの首脳会談以来、さらに実質的な進展が見られた。1月初め、ウィトコフ中東担当特使とトランプ大統領の娘婿クシュナー氏は、ウクライナおよび欧州首脳と会談した。会談後の文書には、米国が停戦監視を主導し、欧州が将来のロシアの侵攻を抑止するための多国籍地上部隊の派遣を主導することが明記されている。有志連合はまた、キーウへの十分な武器供給のための資金を提供することを約束し、戦争が再び勃発した場合に備えて容易にアクセスできる兵器の事前配備も示唆した。
これらはまだ単なる約束に過ぎず、署名も履行もされていない。何よりもプーチンはこれらのいずれにも同意しておらず、おそらく今後も同意することはないだろう。
トランプ大統領はプーチンに過剰なまでの忍耐を示してきたし、またそうなることがあるだろうが、プーチンの強硬姿勢に対し実質的なコストを払わせることになるのは明らかだ。その時は早い段階で再び訪れるかもしれない。
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プーチンに極めて強い姿勢
ウクライナ問題を巡って、トランプ大統領はこれまでプーチンに対し、時に理解しがたいほど宥和的な姿勢を示してきた。そのような中で、今般の米国によるロシア船籍タンカーの拿捕は、トランプ政権がロシアの利益やプーチンの面子等に全く配慮しなかったという意味において、特筆すべき事案と言える。
これがトランプ大統領のプーチン・ロシアに対する姿勢の根本的変化を示すものと断ずるのは時期尚早かもしれない。しかしながら、実際、本件に限らずここ数週間のトランプ政権の動きは、結果的にロシアへのプレッシャーとして機能し、プーチンに対しウクライナ問題で強硬姿勢を取り続けることのリスクの大きさを認識させている可能性はある。
まず、今般のロシア船籍タンカーの拿捕に至る経緯は、少なくとも対ベネズエラ政策の推進において、トランプ政権としてロシアを特別扱いせず、断固としてその関与を排除する姿勢を明らかにするものとなった。
ロシアの石油タンカー「マリネラ号」(旧称は「ベラ1号」。2024年に既に米国の制裁対象リストに追加)は12月、カリブ海近海を航行中に停止命令を受けたが、米国沿岸警備隊の乗船を拒否して逃走、最終的に遥かかなたのアイスランド南方約325キロメートル(km)で拿捕された。
この間逃走中に、露側は同船のロシア企業への売却手続きをとり、ロシア船籍として船名も「ベラ1号」から「マリネラ号」に変更するという、偽装工作を行った。そのうえで露外務省は外交チャネルを通じて公式に、同船に対する追跡中止を要請した。ところが米側はこれらを全て無視し、かつ法的には「航行自由の原則」下にある公海上で同船の拿捕に及んだ。
