2026年2月2日(月)

Wedge REPORT

2026年2月2日

 そして、24年秋に始まった新たな流行シーズンの被害は軽微で、鶏卵供給に深刻な影響を及ぼさず、外食需要はファストフードの期間限定メニューを中心に回復したものの、加工需要の回復はまだ不十分であった。

 日本養鶏協会が昨年9月にまとめた需給見通しでは、この背景として「加工メーカーによる凍結液卵等の在庫の活用」を挙げる。チルド液卵から凍結液卵、粉卵など原料形態の一部シフトによって影響緩和対策を講じているという。

 しかし、需要が大幅に縮小する事態は回避されたものの、関係者の意見として「原料卵の実需が弱含んでいる可能性がある。コスト高を背景に今後、卵投入量の削減、代替素材への置換、卵使用量の少ない新製品の投入などの対応が浸透することで、需要が減退する可能性」を示唆している。

販売単価を受け入れる消費者

 養鶏事業者は、鳥インフルエンザの脅威に常時立ち向かいながら、需要の変動による価格動向を注視しなければならない経営環境を強いられている。

 一方、前述の需給見通しでは、家計調査報告(総務省統計局)による鶏卵の購入数量は、24年10~12月、2025年3月、4月の需要期では対前年比100%以上、不需要期の1~2月、5~6月は前年を下回ったとしながらも、「1~6月の上半期では同98.3%と大きく減少している状況ではない」「高卵価の状況においても一定の消費量が確保されており、現在の販売単価は消費者に一定程度受け入れられている」と指摘している。 

 「物価の優等生」と言われてきた卵だが、消費者は高値を受け入れつつある。今こそ養鶏事業者が持続可能となる価格帯や産業環境にすべき時である。

 日本養鶏協会は採卵業界の総意として、昨年6月に農林水産省が大量殺処分回避の目的で立ち上げた専門家による鳥インフルエンザワクチン技術検討会での議論の加速化を求めているが、ワクチンについては、その有効性や費用対効果に加え、すでに予防的なワクチン接種が行われている中国からの殻付卵輸入に道を開く可能性があるなど、慎重論も少なくない。

 渡り鳥を介して今や世界中に浸潤し、野生動物や家きんの中で変異を繰り返してきた鳥インフルエンザウイルス。養鶏生産者の闘いは今年で22年目に突入した。

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