2026年2月24日(火)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2026年2月24日

 我々は、47年かけて米国とイスラエルがイランのイスラム革命体制に圧力を加え、脅かし、関与し、そして、あまつさえ甘やかしたことから学んだ結果を目撃している。イスラエルにはヒズボラとハマスに軍事的に勝利したという強みがあり、その結果イランの中東内の影響力を弱め、イスラエルは外交的な成果を得ることには失敗したが、その軍事的優越性を見せつけた。もちろん、そのことは、イスラエルに良い成果をもたらすというよりは、思い上がりをもたらすだろう。

 真の問題は、米国との取引が成功すれば、イランのイスラム革命体制は延命し、革命体制によるイラン国民に対する迫害が続くだろうし、他方、戦争になれば、イラン国民をミサイル攻撃で死亡するよりも悪い混乱と内戦のリスクに晒す事になることだ。もちろん、戦争はトランプの優先事項ではない。しかし、そうなる可能性もある。

 トランプが如何なる政策を選ぼうと、大統領は、圧政により何十年も忍耐を強いられて来たイラン国民に及ぼす影響を良く考えなければならない。トランプによる最悪の行動は、1月にした様に再び、実際は何も起こらないのに助けるという約束をちらつかせることである。

* * *

トランプがウラン濃縮で譲歩か

 トランプ大統領は中東に米軍を集結させているが、イランとの武力衝突が起きれば米軍兵士に死傷者が出るのは避けがたく、しかし、何もせずに兵を引けば、「また、TACO(Trump Always Chickens Out)だ」と批判され、11 月の中間選挙があることも考えると成果は欲しいが失敗は許されないという進退窮まった状況にある。このまま緊張状態を継続するのも不測の事態のリスクが高まるので好ましくない。この論説が指摘する通り、些細な成果を過大に宣伝する作戦で、イランに譲歩しても交渉をまとめる決断をしたと思われる。

 最終的にイランの要求を容れてオマーンでの二国間協議に収まったが、当初、米国が、イスタンブールでトルコ、エジプト、サウジアラビア等の外相が同席して米・イラン間の交渉を行おうとしたことは、トランプ大統領は、今回の交渉は一発で協議をまとめ、華々しくその成果を示そうとしたのではないかと考えられる。二国間協議に第三国の外相を招くというのは異例であり、外相達を交渉妥結の証人として同席させ、その成果を宣伝する効果を高めようとしたのではないか。

 これまでトランプ大統領は、(1)イランにウラン濃縮は一切認めない。(2)弾道ミサイルの所有も認めない。(3)代理勢力を使った域内情勢への干渉を認めないと主張している。


新着記事

»もっと見る