2つの連合の対立は、米国の主要な外交目標の1つであるサウジアラビアとイスラエルの国交正常化を複雑にした。
米国の主要な戦略的課題は、弱体化したイランへの対抗ではなく、地域におけるさらなる分断を防ぐため、パートナー間の有害な競争に対処することだが、米国政権は真剣な仲介努力を払うどころか、不干渉の姿勢をとってきた。
トランプが歴史的な突破口を開くには、2つのことを行う必要がある。第一に、米国のパートナー諸国間および自らの側近間の対立をより積極的に管理することだ。第二に、今年後半に予定されるイスラエル議会選挙の政治的成果をサウジアラビアとイスラエルの国交正常化に向けた現実的な道筋につなげる必要がある。イスラエルの新政権が、パレスチナ人の自決を阻もうとする過激派の人質にされないようにしなければならない。
サウジアラビアは中東における重要なスイング・ステートであり、同国の政策は実利的であり、「最大の不確実性における最大の柔軟性」を指針としている。もしトランプがサウジアラビアとイスラエルの国交正常化を実現できれば、米国の中東政策の大きな枠組みの下で2つの連合を統合し、今後数十年にわたり、米国の主導権の下この地域の秩序を安定させることができる。
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紅海周辺が緊迫化
この論説は、現在および今後の中東情勢を把握する上で極めて重要な視点を提供している。
この時期にこの論説が出た背景には、昨年末にサウジアラビアが南イエメンの港で南部分離派に武器を供給しようとしていたUAE船籍の船を空爆したことを契機にサウジアラビアとUAEの対立が急速に深まったことがある。昨年12月に、イエメン内戦当初は、サウジアラビアもUAEもフーシ派と戦う政府軍を支援していたが、その後、UAEは南部の分離独立派支援を優先するようになり、12月に入り分離独立派が急速に支配地を拡大したことに対し、サウジアラビア側が武力行使に踏み切ったものだ。
また、スーダンについても、11月に訪米したサウジアラビアのムハンマド皇太子がトランプに内戦終了に向けて反政府派を支援しているUAEに圧力をかけるよう促し、スーダン政府軍に対する支援を強化したと伝えられる。さらに、ソマリアについては分離独立を目指すソマリランドを12月下旬にイスラエルが国家承認を行った。
これはフーシ派対策のためのイスラエル軍の駐留をソマリランドが認めたことへの見返りであり、ソマリランドを支援するUAEが橋渡しをした疑いからソマリア政府はUAEとの外交関係断絶を発表した。
