2026年2月27日(金)

「最後の暗黒大陸」物流の〝今〟

2026年2月27日

世界的な無人化の波

 日本の港湾が稼働時間の縮小という苦肉の策を強いられている一方で、コンテナ取扱量上位の世界主要港は、労働集約型モデルからすでに脱却している。自動化とデジタル化による24時間365日の安定稼働が、グローバルスタンダードになりつつある。

 国土交通省の資料によれば、世界のコンテナ取扱量上位20港のうち18港で、ターミナルの自動化または遠隔操作化技術が導入されている。

 中国の動きは特に速い。世界第3位のコンテナ取扱量を誇る寧波舟山港の大埔口コンテナターミナルでは、「未来の港湾」がすでに稼働している。

 コントロールセンターではオペレーターが遠隔で巨大な橋型クレーンを操作し、ヤードには運転手の姿がない。AIとデジタルツインによる最適ルーティングに従い、無人コンテナトラックが静かに走り続けている。

 注目すべきは、荷役機器の自動化がエネルギー革新(GX)と一体で設計されている点だ。電気コンテナトラックは無人のバッテリー交換ステーションでわずか5分ほどのうちに充電済みバッテリーへの交換を完了し、ダウンタイムを最小化する。風力タービンや太陽光パネルによる発電、水素自動車への燃料供給まで、港内で完結する仕組みが整っている。

 青島港では、船の荷役からヤード内のコンテナ移動、外来トラックへの積み下ろしまで、オペレーションが一気通貫で自動化されている。独自の制御システム(A-TOS)による最適作業計画の実施により、ヤード全体の人員を8割削減しながら業務効率を約3割向上させるという成果を上げている。

 重要なのは「人がいなくなった」という事実ではない。人が減ることを前提に、港湾をシステム中心に再設計したことに本質がある。

 ただし、自動化の推進には現実的な壁も存在する。自動化設備は従来の有人設備に比べて初期投資が大幅に膨らみ、ROI(投資収益率)の確保は容易ではない。また、既存のターミナルを稼働させながら段階的に自動化へ移行する過程では、「移行コスト」という見えにくい負担も生じる。

 成功事例ばかりが語られがちだが、失敗の教訓も直視すべきだ。ニュージーランドのオークランド港では、ソフトウェアの不具合と労働組合との対立が重なり、自動化プロジェクトが頓挫。結果として生産性をかえって低下させるという痛烈な失敗を経験している。自動化は万能薬ではなく、設計の失敗やステークホルダーとの合意形成なき推進は、投資を無駄にするどころか現場を混乱させるリスクをはらむ。

 こうした現実を踏まえれば、日本が取るべきアプローチはより慎重に、しかし確実に設計される必要がある。


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