2026年3月1日(日)

韓国軍機関紙『国防日報』で追う

2026年3月1日

 海軍にとって、この時期にトップが不在になるのは痛い。韓国造船業界はカナダ海軍の次期潜水艦(最大12隻、推定約6兆円規模)の受注をドイツと争っており、最終提案書の提出期限が3月に迫る。一方、北朝鮮は昨年12月に8700トン級原子力潜水艦の艦体全体を初めて公開し、核ミサイル搭載能力を誇示した。通常型潜水艦の大型輸出案件と、北の原潜への対抗という二正面の課題を前に、韓国海軍は指揮の空白を一刻も早く埋めなければならない局面にある。

初の潜水艦乗組員夫婦が誕生した〝事情〟

 韓国海軍の潜水艦部隊に、初めての「夫婦乗組員」が誕生した。妻のキム・ギョンフン中士(軍曹相当)は3000トン級「島山安昌浩」で水測員を務め、を夫のチョン・チャンソク中士は1800トン級「李範奭」で主計員長を務める。二人は昨年12月に結婚した。国防日報は20日付ヘッドラインで扱うとともに、特集面を設けて報じた。

 韓国海軍が女性の潜水艦乗組みを認めたのは2023年のこと。少子化に伴う兵力減少に対応するため、将校2人と下士官7人の計9名を初めて選抜した。

 キム中士はその一人だ。潜水艦はかつて狭い居住空間や長期の潜航生活を理由に女性の乗組みは困難とされ長い間「女人禁制」とされてきた。

 キム中士の職種である水測員とは、ソナーを操作して水中の音響を分析し、艦の状況把握を支える「潜水艦の目」と称される。目に見えないものを扱う仕事に惹かれ、迷うより挑戦を選んだという。一方、夫のチョン中士は乗組員の人事・生活全般を管理しつつ、航海時には舵も握る。

 潜水艦乗組員の生活は特殊だ。加えて、艦の行動スケジュールが噛み合わなければ、夫婦であっても数カ月間顔を合わせられない。夫婦は新婚旅行の直後に任務へ投入され、離れ離れになった。だからこそ「どれだけ長く一緒にいるか」ではなく、「何を一緒にするか」を大切にしている。

 二人が夫婦として最も大事にしているのは「沈黙の尊重」だという。任務から戻った相手に多くを問わず、その時間を認め、回復を待つ。互いの疲労を言葉にしなくても理解できるからこそ、不満を口にしない。潜水艦という職場を共有する夫婦だけの流儀だ。

 結婚式では海軍の正装で写真に収まり、「最も深い場所で、最も大切なものを守ろう」と誓い合った。その言葉とおり、二人は今日も静かに、それぞれの艦で水中の任務に就いている。

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