国際機関および主要国の対応
世界保健機関(WHO)、国際連合食糧農業機関(FAO)、世界動物保健機関(WOAH)は共同でのリスク評価を公表し、加盟国に対して、動物およびヒトにおける発生を迅速に通報することを義務付けている。
米国では、州を越えて移動する泌乳牛に対して、インフルエンザA型の陰性証明を義務付けている。また2024年12月から国家乳検査戦略を実施し、牛乳タンクを定期的に検査することで、無症状の感染牛群を早期に発見する体制を導入した。
日本国内での発生は確認されていないが、米国の感染地域からの生きた家きんや、熱処理不十分な乳製品の輸入を制限している。また酪農農家に対して、野鳥の侵入防止措置の徹底と、乳量減少などの異常が見られた際の速やかな家畜保健衛生所への通報を求めている。さらに、感染の疑いがある家畜と接触し、発熱や結膜炎を呈した者に対する積極的な疫学調査体制を構築している。
何をしていくべきか
乳牛におけるH5N1の蔓延は、ウイルスが進化の過程で「乳腺」という新たな生存場所を獲得したためである。これは従来の「呼吸器疾患」としてのインフルエンザ像を書き換える事態である。
今後の課題は、牛群内での循環を断つためのワクチン戦略と、ヒト型への変異の継続的な追跡、そして米国では「生乳を飲まない」という予防策の徹底である。
