私的な複製とは、私的に使用するために著作物を複製することです(著作権法第30条)。「私的」とは、個人や家庭内、またはこれに準じる限られた範囲内での使用です。ごく親しい数人程度の友人間など、少人数の閉鎖されたグループ内であれば「私的」の範囲に含まれると言えますが、範囲は限定的と考えておくのがよいでしょう。何人までであればOKと具体的に決まっているわけではありません。
また、公開のインターネットへアップロードする行為はこの例外に当たらず、原則通り許諾が必要です。これは「複製」ではなく「公衆送信」という別の権利に関わるためです。私的公衆送信などという概念はないのですね。
なお、同人誌は「無料配布」と「有料販売」があると思います。「無料であればOK?」と聞かれることもありますが、無料か有料かの区別ではなく、先ほどの2つの例外に当たるかで考えるのがよいでしょう。
「私的な複製」について言えば、たとえ無料であっても不特定の人に配布をしている以上、私的な範囲を超える。つまり私的な複製・翻案でないと判断されます。
他方、「権利者の許諾を得ているか」については、権利者やガイドラインが営利目的を禁止しているか次第です。営利目的を禁止している場合、基本的に一般への有料販売はガイドラインの範囲を逸脱していると判断されるように思います。
二次創作に著作権は認められる?
――ところで、二次創作物の著作権はどのように考えられるのでしょうか?
二次創作自体に著作権が発生するか、という疑問ですね。二次創作に「二次創作者のオリジナル要素」が認められれば、その部分については二次創作者の著作権が発生します。
――それは著作権侵害とみなせる二次創作であっても、部分的には著作権が認められるということですか?
そうですね。日本の著作権法ではたとえ原作者の許諾を得ていない違法な二次創作であっても、二次創作者のオリジナル部分については二次創作者の著作権が認められるのです。
この点について、界隈で話題となった知財高裁2020年10月6日の判決があります。同人作家が自身のBL(ボーイズラブ)同人作品を無断でアップロードされたとして、アップロードをしたサイト運営元に損害賠償を請求した事案です。
同人誌を無断公開した側は「元々が著作権侵害である二次創作なのだから、損害は発生しない」と主張しました。しかし裁判所は、仮に当該二次創作について原作品の著作権侵害の問題が生じる余地があるとしても、二次創作者によるオリジナル部分には二次創作者の著作権が発生しているとし、二次創作を無断で公開されたことに対して著作権侵害に基づく損害賠償を認めました。仮に違法な二次創作でも、それを無断でアップロードなどすれば損害賠償責任が生じるということです。
