2026年3月18日(水)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2026年3月18日

 欧州はこの状況に対し、戦略的自立性を高める必要がある。米国発の誤情報対策を強化し、民主主義支援の制度的基盤を再構築し、BBCワールドサービスのような公共メディアへの投資を見直すべきである。

 さらに、カナダのカーニー首相が提唱するように、志を同じくする民主主義国家との連携を深めることが不可欠だ。自由の概念が政治的に再定義されつつある今、西側諸国には、原則としての自由を守り抜く覚悟が求められている。

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世界情勢よりも米国内の支持

 昨年のミュンヘンでの安全保障会議に招待された米国のヴァンス副大統領は、ウクライナでの戦争終結に向けた協議の可能性について言及するものと皆が予想し、待ち構えていた。しかし彼は、その演説の大半を欧州諸国の民主主義が後退しているとの批判に費やした。欧州大陸が直面する最大の脅威はロシアや中国ではなく「(欧州)内部にある」と指摘し、欧州の民主主義を痛烈に批判した。

 同副大統領は、イギリスを含む欧州各国の政府が、移民問題に関する有権者の懸念表明を無視し、SNS規制や各国での偽情報対策を「検閲だ」と呼び、民主主義の価値を損ねていると主張した。そしてそのような言論の自由の抑圧は、欧州自身が主張してきた価値観からの後退であると非難した。

 さらに彼は、大勢の移民が流入する責任は欧州大陸にあり、欧州の指導者たちが「最も基本的な価値観の一部」から後退していると指弾した。この演説に会場はしばし沈黙に包まれ、欧州諸国の幾人かの政治家はこの副大統領の演説を非難し、ドイツのピストリウス国防相などは「容認できない」と反発した。


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