「ロシアの隠密の妨害工作は裏目に出て、ロシアは戦略的優位を獲得するどころか、ロシアは敵対勢力だとの見方を強化した」とエストニアの報告書は言っている。欧州がまずしたのは隠密工作に関わったロシアの情報関係者600人の追放で、ロシアはその結果生じた穴をギャングで埋めたという。
また、昨年9月以降、欧州はロシアの影の艦隊のタンカーや、海底通信ケーブルを破壊、あるいはロシア産石油を輸送したとされる船を拿捕、さらに、ウクライナに小包爆弾を送ろうとした容疑や、米英加・エストニア・ポーランドに発火性の小包を送ろうとした容疑で10数人を逮捕した。追跡は宇宙空間にも及び、今月、欧州の治安当局は欧州の衛星通信を傍受した可能性のあるロシアの衛星2個を特定した。
ロシアの戦争は続いているが、コストは毎月上昇し、ロシアの死傷者数は130万人に近づきつつある。経済も破綻し始め、ロシアの統計によるとロシアの石油収入は昨年24%も減少した。財政状況も21年の黒字から昨年は700億ドル以上の赤字に転落した。
プーチンの戦争は意図せぬ結果の法則の具体例と言える。彼はウクライナを抹殺しようとしてかえってウクライナ人を結束させ、ロシア憎悪を生んだ。
同様に、欧州を服従させようと隠密裏に攻撃し、欧州の抵抗と国防へのコミットメントを強化してしまった。プーチンのウクライナでの大失敗は、歴史家バーバラ・タックマンが著書『愚者の行進』(邦題は『愚行の世界史』、中公文庫)の中で示した愚行のリストの最上位近くに位置するだろう。
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情勢判断を誤るプーチン
イグネイシャスのこの論説は、ロシアのハイブリッド戦争に対して欧州各国がどう反撃しているかを描写している。プーチンは諜報機関KGBの出身であり、情報収集や工作活動をしてきた人であり、ハイブリッド戦争のような手段に頼る傾向がある人である。欧州諸国がそれに反撃しているのは結構なことである。
