2026年3月19日(木)

WEDGE REPORT

2026年3月19日

 ところが、興味深い事象があった。香港政府は、香港経済貿易代表部という政府機関を持っており、世界中にオフィスを構えている。東京にも駐東京経済貿易代表部という事務所があり日本と香港経済の橋渡しを担っている。

 駐東京経済貿易代表部は、26年3月にビジネスセミナー・夕食会を開催した。そこに参加した日本人は「多くの日本人と香港人が参加していましたが友好的な雰囲気でした。セミナーでは香港の経済の優位性などをしっかりアピールしていました」と状況を語る。

 つまり、香港にある香港政府は、中国政府を顔色が気になって日本を遠ざけようとするが、現場レベルでは、政治の事より香港経済のために働いているという温度差だ。

 また、香港の市民レベルで言えば、親日都市であり、ここにも政府の考えとは乖離がある。おそらく、政府関係者の一部には、職務上は対日政策で厳しくしても、プライベートでは日本好きという人はいる。

日本のソフトパワーの底力で乗り越えらえるか?

 乖離を実現しているのは、日本のソフトパワーだ。敗戦国の日本が、敵対していたアメリカに憧れたのはハリウッド映画のようなソフトパワーの影響が少なからずある。それと同じように、香港では、日本のドラマ、アニメ、音楽が長年にわたり親しまれてきた歴史のおかげで親日家が多い。

 日本と中国、日本と香港、香港と中国……それぞれの微妙な温度や立場の差がエンタメ関連の中止・延期という形で露見した。とはいえ、香港政府は中国政府の政策に追随しており、日中関係が改善するまでは、文化イベントは中止・延期が続く可能性が高いと考えるほうが自然だ。

 そして、その間に韓国のソフトパワーがより浸透することは避けられないだろう。一方、香港のエンタメ関係者は、日本のエンタメ市場は巨大であることから日本でビジネスをしたいと考えている。

 いずれイベントの中止・延期がなくなった後、日本のソフトパワーが再び巻き返せるかだが、それまで歴史の積み上げという遺産と日本のソフトパワーの底力を確実に発揮できれば最終的には香港での難局を乗り越えらえるだろう。

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