防空システムの役割
イランによるドローン攻撃にさらされている中東諸国は、イラン製ドローンに対する実戦経験を積んだウクライナの技術につき協力を求めている。一方、ウクライナは、ほぼ全面的に米国に依存している防空ミサイル・システムがイラン戦争に投入されることに危機感を抱いており、自身のドローン技術と引き換えに、資金だけではなく防空システムの確保をも目指しているものと思われる。同時にウクライナとしては、装備や資金の受益者であるだけではなく、他国に貢献する立場にもあることを示す狙いもあるだろう。
いまウクライナは様々な機会をとらえてドローンの売り込みに力を入れており、わが国に対してもアプローチがある。わが国にとって有益と考えられるウクライナのドローンには次が含まれる
第1は迎撃ドローンである。中東諸国が欲しがっているのもこれであると思われるが、ウクライナは2024年の初め頃から、飛来するイラン製ドローンへの安価な対応策として、ドローンで迎撃する方法を研究してきた。
もともと防空システムや戦闘機の不足状態にあったウクライナは、それまでドローンの撃破をトラック搭載の機関銃に大きく依存していたが、とても対応しきれるものではない。そこでウクライナのエンジニアたちは、なんとクワッドコプターを改良してシャヘドを撃墜する「迎撃ドローン」を約1年かけて開発したのである。
イラン製のシャヘド136は最高速度約180km/hで飛来するとされている。これを迎撃する「スティング」と命名されたウクライナのドローンは350km/hで推進する弾頭を搭載している。価格は千~数千ドル程度で、迎撃対象のシャヘドよりさらに安い。これは理論的には、高価な防空システムを不要とするもので、正に画期的と言える。
わが国周辺の戦争は海と空が中心になるので、飛来するドローンよりさらに安価で量産が可能な「迎撃ドローン」は、日本にとっても極めて貴重な装備となるだろう。
サイバーセキュリティにおいても重要
第2は、電波妨害等にかかる技術である。ロシア軍は伝統的に電子戦に強みを発揮する部隊であり、ドローンを運用した初期の頃はウクライナ側もかなり苦戦したものと思われる。
大挙して飛来するドローンを迎撃ミサイル等でひとつひとつ落としていったのでは人的・物的コストは計り知れない。ドローンを誘導する通信を妨害し、動作を混乱させ、無力化することは重要な対策である。
