これは日本の将来の産業の発展に大いに影響する国家プロジェクトとなることが想定される。現実に産業化されるためには南鳥島が採掘のための陸上支援施設としての機能も期待される。
放射性廃棄物の処分場機能との両立や運搬等機能連携もこれから検討されるだろう。資源小国の日本にとっては、レアアース開発が重要課題であるのと同様に、原子力発電から発生する放射性廃棄物の処分場確保も重要課題である。
特定有人国境離島としての機能
政府は現在、日本の排他的経済水域の基点となる有人国境離島(有人国境離島地域保全特別措置法)の対象に東京都の伊豆諸島に属する新島・式根島を加えることとしている。
2016年にできたこの法律は、海上保安や海洋調査の拠点として重要な役割をもつ国境離島の人口減少を防ぐため輸送や産業の機能を維持するための各種支援を目的としている。東京都では従来、三宅島、御蔵島、八丈島、青ヶ島が対象となっていたが、より本土に近い新島・式根島を加えることによってこれらの島々の連続性が保たれるよう期待したい。その線を延ばしていくと小笠原諸島、南鳥島に至るのである。
この法律は、指定された有人国境離島における地域社会の維持、定期航路運賃等の低廉化、定期航空運賃の低廉化、生活または事業活動に必要な費用負担軽減、雇用機会の拡充、安定的な漁業経営の確保等など手厚い支援を定めている。
放射性廃棄物の処分場については調査だけでも国からの交付金が村に交付される。文献調査だけでも上限20億円、1年あたり10億円である。第2段階の概要調査になると上限70億円、1年あたり20億円。
この金額は一見大きいように見えるかもしれない。しかし冒頭述べたように離島に人が住むためには多額の公的資金が継続的に必要となる。小笠原諸島にとっても南鳥島にとっても廃棄物処分場であれレアアース採掘であれ、生活の基盤となる産業振興が大切である。
南鳥島には交通・通信機能が今日ほど進歩していない明治から昭和初期まで民間の人が住んでいた。漁業など生活基盤となる産業があったからである。廃棄物処分場についても有人国境離島を守るため人が働く場をつくるという視点からの議論が大切だと思う。
