2026年4月7日(火)

World Energy Watch

2026年4月7日

ホルムズ海峡は完全には開放されていない

 開戦後からホルムズ海峡を通過する船舶は9割以上減少した。2月1日から27日まで1日当たり平均129船が海峡を通過していた。2月28日から3月31日までの間に通過した船舶は292船と報じられている。一日平均9船だ。

 空荷147船、一般貨物38船、石油製品32船、液化石油ガス(LPG)20船などだが、原油タンカーと液化天然ガス(LNG)タンカーはそれぞれ3船と1船しかない。

 イラン関係の船舶を除けば、中国関係の船舶が多いと報じられているが、加えてどこの国が通過を許されたのだろうか。

 イランのアラグチ外相は、3月26日に具体的な国名をあげ次のように述べている。 「中国、ロシア、インド、パキスタン、イラクを含む友好的と考える国」。

 その後、4月上旬にかけ次のアジアの国が通行の許可を得たと、政府あるいはメディアが発表している。マレーシア、タイ、バングラデシュ、インドネシア、フィリピン。

 産油国のインドネシアを除き、フィリピンの95%を筆頭に中東原油への依存率が極めて高い国ばかりなので一安心かと思いきや、4月になってもホルムズ海峡を通過する船舶は1日当たり平均10船にも届いていない。3月から通過する船舶数は変わらない。

 イランは、ホルムズ海峡に通行料を課す計画を発表しているが、既に、人民元あるいはステーブルコイン(法定通貨あるいは貴金属価格と連動する暗号資産)で一部の船舶から通行料を徴取していると報道されている。

 通行料に加え革命防衛隊の審査が厳しい可能性もある。一度通過を試みた中国のコンテナ船が許可を得られず引き返し、3日後に通過したとの報道もあった。

 日本とフランスが関係する船舶が通過したが、通過する船舶数が戦争前に戻るのには、まだ時間がかかる。

 海峡が正常に戻っても、石油、LNGプラントなどが攻撃を受け損傷しており、生産はすぐには戻らない。原油など関連する商品の価格はこれからどうなるのだろうか。

海峡の封鎖はあらゆる物価上昇につながる

 石油あるいは天然ガスに関連する多くの商品の価格はすでに上昇している。ホルムズ海峡が実質的に封鎖され商品価格は上昇したが、封鎖時には既に海峡を通過し消費地に向かうタンカーも多くあった。例えば日本には約3週間の海上輸送期間があり、封鎖後も石油は入着していた。

 しかし、すでに1カ月以上経った。消費地にホルムズ経由の船は到着せず、原油と関連製品の入着量は迂回ルートからの出荷だけになり、大きく減少した。これから、在庫の取り崩しが始まり、長期化すれば備蓄の追加放出が必要になる。

 価格への影響も本格化するだろう。米国ではガソリン価格が、戦争前の3ドル弱から毎日じわじわと上がり、4月4日には1ガロン(3.8リットル)当たり平均4.104ドルになった。4ドル超えはロシアの引き起こしたエネルギー危機以来4年ぶりだ。

 製油所が少ない西海岸カリフォルニア州の価格は5.915ドル。日本円にすると1リットル当たり約250円だ。

 トランプ大統領が2、3週間攻撃を続けると明言したことから、平均のガソリン価格は4.5ドルになるとの予測も出ている。ガソリンへの支出額が多い米国の家庭の負担は大きく増える(トランプを追い込むガソリンと肥料価格の上昇、長期化するイラン攻撃とホルムズ危機の影響…日本にも求められる抜本的解決  Wedge ONLINE)。

 ディーゼル油の価格は、開戦前から50%近く上昇し、ガロン当たり5.583ドルだ。米国ではトラック輸送費が大きく上昇し、物価を引き上げる。

 航空燃料も大きく上昇した。図-1が米国の航空燃料の上昇を示している。2倍になっている。航空燃料価格の上昇は、航空運賃に影響を与える。中国では運賃のサーチージを6倍に引き上げた航空会社も報じられた。

 豪州の石炭と欧州市場の天然ガス価格は、季節要因もあり4月に入り少し下落したが、それでも開戦前との比較では大きく上昇している。


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