補助金政策には出口戦略が必要
ガソリン、ディーゼル油の価格は、補助金により上昇が抑えられた。図-5が示す通りだ。車社会の地方では、ガソリン価格は家計に影響を与える。急な変動には補助金は必要だ。
一方、補助金を投入し価格を抑制すれば、燃料消費は減らない。石油の入荷量が減少する中で補助金を出してはいけないとの意見もある。
価格と量の問題を考える際には、価格弾力性を念頭に置く必要がある。価格弾力性(価格弾性値)は、価格の変化が消費にどれだけ影響を与えるかの数値だ。
例えば、価格が10%上昇し、消費が10%減少すれば、10%割る10%で価格弾性値は1.0だ(価格弾性値は絶対値で表示)。消費が5%減少すれば0.5だ。
必需品では弾性値は低く、代替品がある品物の弾性値は高くなる。弾性値が低い例にあげられる商品は塩、トイレットペーパー。価格が上昇しても需要の減少はわずかだ。嗜好品で代替品もあるお菓子では、価格の上昇は需要をかなり減少させるだろう。弾性値は高い。
では、必需品のガソリンと軽油の価格が上昇すれば、需要はどれだけ抑制されるのだろうか。エネルギーの価格弾性値は相当に低いと考えられているが、季節要因、経済情勢もエネルギー需要に影響するので正確な数値を得るのは簡単ではない。日本の研究では短期では0.1を下回り、0.05との数字もある。
弾性値を0.05と仮定すると、価格が50%上昇しても、需要は2.5%しか減らない。生活が苦しいとする国民が6割近い中で、需要を削減するため高い価格を維持すべきだろうか。
在宅勤務、公共交通機関の利用、荷物の配達回数の削減推進など、政府が進める政策には多様なものがある。補助金支出の是非については、短期と長期に分け考えるべきだ。
長期間にわたり補助を続けた場合には、円安がエネルギー価格を上昇させる可能性がある。円安の原因には日本の低金利と財政状態もあるからだ。
政府の債務が増える中で、円に対する信頼が低下していることも、また国債の発行が増えることも円安の原因とされる。補助金を続け、円に対する信頼が低下すれば円安が進み、輸入されるエネルギー価格を押し上げる。
これからホルムズ危機の影響により石油の供給が減り、価格が上昇する中でも、政府が補助金の打ち切りを迫られる可能性も高い。省エネ、節電政策と同時に補助金の出口戦略も必要だろう。

