燃料だけではない。液化天然ガス(LNG)から製造される肥料原料の尿素、原油からのナフサ、エチレンなどの価格も大きく上昇している(図-2)。電気料金が安い中東での生産が多いアルミニウムの価格も上昇した。
肥料の値段が上がれば、食品が値上がりする。ナフサ、エチレンが上がればプラスチック、合成繊維が上がる。既に値上げがニュースになっている。
燃料が上がれば、輸送費、ガス料金、電気料金の上昇を通し多くの物価を上げる。日本は、これから値上げの夏を迎える。
値上げの夏を迎える日本
原油、石油製品、LNG、石炭の値上げは様々な物価を上げるが、夏を迎える消費者が気になるのは電気料金だ。図-3が今年1月の世帯平均の消費支出額を示している。電気料金は約5%を占める大きな項目だ。
5月支払い分から政府の冬季の電気・ガス料金に関する補助がなくなり、1キロワット時(1kWh)当たり1.75円上昇する。さらに、再生可能エネルギーの賦課金額が、5月支払いから4.18円になり、0.2円上昇する。
これだけで、平均的な家庭では月額800円支払額が増える。電気料金の契約によるが、月額では1万4000円から1万5000円超の支払いになる。
ホルムズ危機による燃料価格の上昇が引き起こす電気料金の値上がりは、7月頃からになる。多くの電気料金には燃料費調整制度が設けられている。燃料価格が変動すれば2カ月遅れで電気料金の支払いに反映される。
計算に使われる燃料価格は、急激な変動を避けるため3カ月平均の値だ。例えば、2月から4月の燃料価格の変動は、7月の電気料金の支払い額に反映される。ホルムズ危機が長引けば、夏の電気料金が数千円上昇する家庭も出てくる。
電気料金は地域、契約により異なる。料金は自由化料金と規制料金に分けられる。規制料金の燃料費調整制度には基準燃料価格の1.5倍が上限額として定められている。基準燃料価格、上限価格は電力会社の電源構成を反映し異なる。
消費者保護のためとされるが、16年の自由化以降10年経過したのに、まだ規制料金が残されているのは自由化の不都合な真実だろう。電力市場の自由化の難しさを表している。
今、日本で契約されている家庭用を中心とした電灯契約口数の25%弱が新電力。75%強が大手電力だが、大手電力の契約口数の6割強が規制料金を選択しているので、全体の契約口数のほぼ半数が規制料金になる(図-4)。
ホルムズ危機次第で燃料価格の大幅上昇があり得るので、電気の契約中の燃料調整費制度の内容を確認すべきかもしれない。
電気料金が大きく上昇すれば、使用量が増える夏季には、また補助金が復活するかもしれないが、補助金を長く続けると日本着のエネルギー価格を上昇させる。なぜだろう。ガソリンの補助金から考えてみよう。



