2026年4月8日(水)

日本の漁業 こうすれば復活できる

2026年4月8日

 その影響は、新たな資源管理制度への反対理由にも結びついてしまい、水産庁が目指している「世界的に見て遜色がない資源管理システムの導入」を遅らせる一因になっています。その悪影響は日本の社会全体に及んでいます。

 16年に環境変動で捕食者が増えたという新説は、重要な理由に触れていません。それは、イカナゴが減少している背景に、科学的根拠に基づく漁獲枠が設定されておらず、小さなイカナゴを漁獲し続けてきた「成長乱獲」による結果という本当の理由についてです。

 日本の研究発表は、魚の獲り過ぎで魚が減っているという肝心な理由を横において(避けて)、他の理由で説明しようとする傾向があります。このため、イカナゴが減った理由に限らず、海水温上昇や外国漁船、はたまた水がきれいになった、捕食魚が増えたといった本質から離れた内容になって矛盾が生じてしまうのです。

 研究者らから問題の本質ではない情報が提供されて、それがそのまま報道されて国民がそれを信じてしまう。このため科学的根拠に基づく水産資源管理が行われず、資源が減って魚が獲れなくなる繰り返しが全国で続いてしまいます。

 前提が合っていないので正しい資源管理制度が進まない。いったん認識されてしまった誤解はなかなか消えません。今やほとんど資源が枯渇してしる秋田のハタハタは資源管理の成功例として誤解され続けています。

世界と比較してみると

 さらに世界と比較してみましょう。イカナゴは大西洋(デンマーク・ノルウェーなど)でも漁獲される魚です。下のグラフは過去20年の日本と大西洋の漁獲量推移を示しています。

イカナゴの漁獲量推移 農水省とICESデータを編集 写真を拡大

 日本は激減が続いている一方で、大西洋では凸凹があるものの、決して漁獲量は減少傾向ではないことがわかります。実際には数万トン簡単に獲れても、資源の持続性を考えて予防的アプローチを導入しているノルウェーは、25年を禁漁としました。日本各地のように獲れなくなって手遅れになってから禁漁するといった管理は行いません。

 また、大西洋では日本が幼魚狙いなのに対し、漁獲は成魚だけです。日本の場合は幼魚に価値があり、大西洋では食用ではなく安価で取引されるフィッシュミール向け主体という用途の違いはあります。しかしながら、大西洋では漁獲の際に漁獲枠を設けるのが当たり前です。しかしながら、日本では漁獲枠さえ設定されていません。これでは資源量が減って漁獲量も減るのは当たり前です。

 以上で幼魚の獲り過ぎというイカナゴがいなくなった本当の理由を理解していただけたでしょうか? その解決策は科学的根拠に基づいた数量管理なのです。

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