2026年4月8日(水)

日本の漁業 こうすれば復活できる

2026年4月8日

瀬戸内海の漁獲量は減り続けていた

 下のグラフは、瀬戸内海と兵庫県のイカナゴの漁獲量推移です。調査では、16年(平成〈H〉28年)に捕食者が増えたとのことですが、短期的にわずか増えたのかもしれませんが、全体としては増えるどころか、逆に減少傾向が続いていました。

瀬戸内海の漁獲量推移と兵庫のイカナゴ漁獲量 (農水省データ編集・兵庫県) 写真を拡大

 15年(H27年)に対して16年(H28年)の瀬戸内海区の漁獲量は15万3480トンから15万7383トンとわずか2.5%増加していますが、凸凹を繰り返しながら減少している漁獲量からしたら、誤差程度に過ぎません。それは上のグラフの赤丸を見ていただければお判りになるはずです。

 イカナゴは、生態系ピラミッドで他の魚に食べられる弱い立場にあります。「増えた」という特定の魚たちだけに食べられているだけではありません。

 もちろん特定の捕食者が増えたことが、全く原因ではないとは言いません。しかし捕食者になりえる全魚種の漁獲量としては、特段に増えていないことがわかります。このため、イカナゴが激減した主な理由の一つにはならないのです。

 さらに付け加えると、瀬戸内海以外でイカナゴが激減した他の海域は、捕食者も含めた他魚種も激減して、イカナゴも激減しています。

 また下のグラフは、イカナゴ休漁中の大阪湾の漁獲量推移です。全体で見ると同じく捕食者が増えたという16年時点の変化はよくわかりません。兵庫県は日本海の漁獲量も入るため大阪府でグラフを作成しています。

大阪府の漁獲量推移 農水省データを編集 単位トン 写真を拡大

なぜ差が出てくるのか?

■全国でイカナゴ減少が起きている際の共通点
・科学的根拠に基づいたイカナゴの漁獲枠が設定されていない。
・生まれたての稚魚を獲ってしまう「成長乱獲」が続いている。

■瀬戸内海との比較で出てくる矛盾点
・陸奥湾や仙台湾をはじめ北側の地域でも減っており、必ずしも海水温が高い南の方からイカナゴが獲れなくなっていったのではない。
・同様に水がきれいになったという理由で、他海域のイカナゴが獲れなくなったわけではない。
・他の海域も含めて水揚げは減少している。捕食する魚が減ってイカナゴが増える相関性は見当たらない。それどころか、全国の漁獲量は毎年減少を続けており、捕食者含めて全体の漁獲量が減っている。

 魚が獲れなくなった原因がなぜ実態とズレてしまうのか? それは研究などで「獲り過ぎ」という本当の理由を避けて他の要因に減った理由を求めることが慢性化してしまい、水産業を成長産業にしている国々と大きくズレてしまっているからです。


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