2026年4月8日(水)

日本の漁業 こうすれば復活できる

2026年4月8日

イカナゴ激減の3つの説

 イカナゴは瀬戸内海に限らず全国で激減しています。74年のピークには約30万トンも獲れていましたが、24年はわずか200トン。25年、26年のデータはまだですが壊滅的です。

 客観的に理解できるように、全国の主な漁場と獲れなくなった年度、そしてその理由として頻出するものを挙げてみました。瀬戸内海で獲れなくなった理由として出てくるのが、従来の①②と最近出てきた③新説です。

 もちろんこれらに全く影響されていないとは言いませんし、多少の影響はあるでしょう。しかし瀬戸内海で獲れなくなった理屈は、全国で獲れなくなっている状況をみながら俯瞰(ふかん)した場合でも、それらが正しいと言えるか考えてください。

①海水温上昇で夏眠が取れないから

 イカナゴは海水温が上がる夏に、砂に潜って水温が下がるまで数カ月夏眠をするといわれます。

 そういった生態があるとしても、陸奥湾・仙台湾といった海域でも、瀬戸内海同様かそれ以上に激減しております。果たして瀬戸内海より北の海域でも、海水温上昇による夏眠が理由で激減したのでしょうか?

②下水処理の高度化で水がきれいになってエサのプランクトン不足になったから

 江戸時代や室町時代にイカナゴはもっと獲れなかったのでしょうか?筆者はこの話を先日北欧の資源学者にしたところ、「それでは100年前は?」と即答されました。現実離れした説ということです。さらに言えば瀬戸内海以外の他の海域も、下水処理で水がきれいになって獲れなくなったのでしょうか?

(新説)環境変動で他の捕食者が増えて、イカナゴを食べてしまう危険性が高まったから?

 瀬戸内海で2016年からサワラ・ブリ・ハモ・スズキ・ヒラメなどの捕食者が増えたからというものです。他の海域では捕食者の資源は激減していますが、イカナゴも激減しています。瀬戸内海は何か特殊なのでしょうか? そもそも瀬戸内海の捕食者は増えていたのでしょうか? 全体の漁獲量としては日本全国同様に減り続けています。また瀬戸内海の漁獲量は減少を続けていますが、捕食者が減ってもイカナゴ資源は回復どころか壊滅に向かっています。

 福島沖では東日本大震災で、放射性物質の影響で漁獲が数年止まり、ヒラメはじめ捕食する魚が大幅に増えるだけでなく、イカナゴも増えました。しかしながら全国のイカナゴ不足で、福島沖の漁獲が進み、今では獲れなくなってしまいました。

 捕食者が増えたのでイカナゴが減ったという新説について、ある漁業者の方が疑問を持って筆者に問い合わせしてきましたので、よく調べてみました。すると、必ずしもそうではないことがはっきりしました。


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