保護者が運営に加わる、あるいはしっかりと利用者アンケートを行ってこどもと保護者の意見を定期的に確認している事業者では、徐々に学童の運営形態が改善に進んでいます。昼食提供が全施設の半分に達したとか、閉所の時刻が午後7時ごろにだいぶ近づいてきているのは保護者が改善を求める声があって徐々に変わっていったのです。
保護者はどこまで関わるのか
学童保育所はもともと自然発生的に生み出された仕組みです。法令より先に実態が存在していました。仕事と子育ての両立に悩んだかつての保護者たちが自ら興し、それを地域の自治体が補助したり引き取ったりして発展を遂げたのです。
その名残で今も保護者が運営に加わる学童保育所が残っており、だいぶ減りましたがそれでも全国約2万6000の学童保育所のうち約3400施設は保護者による運営です。また、事業運営は法人や自治体が行っていても学童内の種々の業務が保護者に委ねられているという折衷型の施設もあります。
入所した学童保育所が保護者運営だった場合はどうなるでしょう。そのような場合は「面倒くさい」と忌避せずむしろ、「自分たちにとってより良い学童保育所に進化できるチャンス」として捉えてほしいと考えます。筆者も実はそのように考えて学童保育所運営に関わり、最終的には本業を学童保育所運営に替えてしまったほどでした。
開所や閉所時刻が保護者の実情に合っていないなら変える。職員不足が甚だしいなら利用料を上げてでも職員の労働条件を改善して質の高い人材を獲得する。保護者が普段の仕事で行っている業務改善や生産性向上は実は学童保育の世界ではまったく一般化していません。
そのような考え方で業務効率を改善し、職員の労働条件を改善していくことは、運営に関われる保護者が職業人としてフル活用している種々の能力やスキルを発揮できる局面です。本業が忙しすぎるのは百も承知ですが「自分たちの手で学童運営をより進化させる」という状況はとてもエキサイティングです。
実のところ学童保育はそうした「学童運営に関わることが楽しい」と思った保護者たちが発展させてきた仕組みです。
筆者は学童保育の運営責任を利用者である保護者が負うという、かつて学童保育業界で主流だった保護者運営の形態については否定的ですが、それは保護者が「こどもを預けっぱなし」で良いとするものではありません。運営に参画を希望する保護者が学童保育の運営に関与できる機会を保障する仕組みは学童保育所の健全な発展に必要だと考えています。
それによって「こども、保護者そして職員、地域社会」すべてに満足できる水準の学童保育運営が実現しやすくなるからです。もし利用している学童保育所にそのような機会があるなら、ぜひ活用されることをお勧めします。
