2026年4月17日(金)

教養としての中東情勢

2026年4月14日

 2028年の次期大統領選挙で先頭を走るヴァンス氏だが、今回は戦争相手との交渉という大役を任された。同氏は米政権内ではイラン戦争に最も反対していた人物。昨年のイエメンへの攻撃作戦にも異を唱えた。大統領の中東への介入を非難している保守派のカールソン氏とも親しい間柄だ。責任を果たしたことで今後、イラン交渉を任せられる可能性がある。

主導権確保と経済的締め付け

 しかし、トランプ大統領は楽観的な姿勢の一方で、石油輸送の要衝ホルムズ海峡を封鎖すると宣言。この関連で、日本が海峡の安全確保を支援せず「驚いた」と持論を展開、「彼らは助けてくれない」と批判した。米中央軍は大統領の宣言に基づき、イランの港湾への出入りを13日午前10時(日本時間同午後11時)から全面的に封鎖すると発表した。

 大統領は当初、イラン側に海峡の通行料を支払った船をはじめすべての船舶の検閲を表明していたが、「航行の自由を妨げない」という自由航行の原則に立ち返り、対象をイラン港湾の出入りに絞った。海峡封鎖に乗り出したのは、海峡航行を支配しているイランから主導権を取り戻すとともに、イランの原油輸出を阻止し、経済的な締め付けを図ることが狙いだ。

 イラン革命防衛隊はホルムズ海峡の通過に際し、船舶に「安全回廊」としてのルートを示し、通行料を徴収している。タンカーでは1隻約3億円の通行料という。

 イランはこの通行料を戦争で破壊された施設などの再建費用に充てたい意向。通行料は対岸のオマーンとも折半するという。

 だが、封鎖はいつまでも続かないだろう。1つは封鎖の発表で原油価格が一段と高騰、米国内のガソリン価格に跳ね返っていること、もう1つは中国が多大な不利益を被るからだ。

 イランの原油輸出の90%は中国向けで、中国は原油輸入の15%をイランから賄っている。トランプ大統領は5月には訪中を控えており、中国に配慮せざるを得ない。

 イランの革命防衛隊は海上封鎖の発表に対し「ホルムズ海峡はイラン側の管理下にあり、近づこうとする軍艦は停戦違反とみなす」と警告した。トランプ氏はイランを翻意させるために「限定的な攻撃を検討中」と伝えられており、本来は4月21日までの停戦期限内に軍事衝突が再燃する懸念も出ている。

中国が携行用対空ミサイル供与か

 今回の和平協議が実現した背景には「中国がイランを説得したことが大きい」(中東専門家)。だが、実際には中国がイラン戦争に深く関与しつつあるのではないかとの疑念が米政権内にある。

 ニューヨーク・タイムズによると、米情報機関は中国が最近の数週間のうちに、携行用対空ミサイルをイランに供与したかもしれないとの情報を入手したという。


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