2026年4月17日(金)

教養としての中東情勢

2026年4月14日

 ロシアがイラン革命防衛隊に米艦船の位置や米軍基地などの衛星情報を送り、イラン側がこの情報を基に弾道ミサイルの命中精度を向上させているとの情報もある。中国の対空ミサイル供与については駐米中国大使館が強く否定しているが、露中の関与が事実なら、トランプ氏の訪中にも影響を与えることになるだろう。

「別の戦争」を戦う米国とイラン

 トランプ氏は「合意があってもなくても関係ない。われわれが勝ったからだ」と軍事的にイランを壊滅状態に追い込んだと自画自賛している。だが、イラン側には焦りが感じられず、余裕さえ漂っている。

 なぜなのか。ベイルート筋は「米国とイランはそれぞれ“別の戦争”を戦っているからだ」と指摘した。

 圧倒的な軍事力を誇る米国とイスラエルが軍事的に勝利するのは当然だろう。米国は「軍事戦争」を挑んでいるからだ。だが、真正面からぶつかれば敗北するイランは非対称の「経済戦争」を戦っているといえる。イランの描く「経済戦争」のシナリオはこうだ。

 ホルムズ海峡を封鎖し、安価なドローンでペルシャ湾岸諸国の石油関連施設を攻撃、世界経済に打撃を与える。米国のガソリン価格が上昇し、11月に予定される米中間選挙でトランプ大統領の共和党が完敗する、というものだ。イランのガリバフ国会議長は「米国民は1ガロンが4、5ドル時代を懐かしく思うようになる」と警告、ガソリン価格が何倍にも跳ね上がることを示唆した。

 イラン側はトランプ氏が掲げた戦争目標が何一つ達成されていないことを自分たちの成果としている。開戦当初、トランプ氏はイランの最高指導者ハメネイ師らを殺害してイスラム体制の転覆を狙ったが、失敗。今も「体制転換」は起きていない。核開発能力の解体や高濃縮ウランの回収もできていない。

 イランのミサイル発射能力を壊滅したと誇示しても、イランは毎日20発の弾道ミサイルをイスラエルに発射してきた。イラン海軍艦船は約150隻が破壊されたが、いまだに小型の高速ボートがホルムズ海峡付近を走り回っている。

 トランプ大統領はイランを屈服させるのは不可能であることを認め、本腰を入れて和平協議に取り組む時だ。

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