間もなく土用の丑の日を迎えるが、資源量が減り続けるウナギは将来食べられなくなると言われている。また、海の生き物の話題としては、昨年末には、有名ホテルのレストランがシバエビを使用していると謳っておきながら、実際にはバナメイエビを使用していたなどの商品偽装問題が世間を騒がせた。他にも、今年3月には国際司法裁判所が調査捕鯨中止の判決を下した。日本の魚食を守るために、我々は限りある資源とどのように向きあっていけば良いのか。『日本の海から魚が消える日』(マガジンランド)を上梓した国際東アジア研究センターの小松正之客員主席研究員に話を聞いた。
――今までにも漁業改革を訴える本を出されています。今回の本では、どんなことを意図して書かれたのですか?
小松:私は、故郷である岩手県陸前高田市広田町を含め、漁村地域の衰退が著しいのを目の当たりにし、2006年から本格的に水産業の改革に乗り出しました。これまでに日本の漁業改革を促す本を3冊出しましたが、今回の本でも本質的な主張は変わっていません。
海外では限りある水産資源をみんなで守り、持続的に食べていこうという流れがあります。海はみんなのものであり、資源を乱獲すれば日本国民全体が困ることになる。ですから、一般国民や消費者にももっと関心とこの問題に介入する気持ちを持ってもらい、消費者から政治家、行政や関係団体などに良い意味で影響を与えてもらいたいなと。そのための勉強の素材をわかりやすく、一般の人たちがアクションを起こせるヒントとなるような情報を入れて書きました。
――これまで小松先生は、魚食を守るために数々の会議の委員を務めていますね。
小松:私たちは07年に、日本経済調査議会で「魚食を守る水産業改革高木委員会」(以下、高木委員会)を組織し、日本の水産業再生のための提言を発表しました。これは政府に持ち込まれ、私が委員を務めた内閣府の規制改革会議の提言にも盛り込まれましたし、将来の日本の水産業を構築するためには非常に有益だと思います。趣旨は次の4つに集約できます。