中国はパラセル諸島に既に1つの滑走路を有するが、ベトナム沿岸からは遠い。アンテロープ礁は石油・ガスの埋蔵地域であり、かつ豊かな漁場に近い。
過去4年、ベトナムは自身が支配するスプラトリー諸島の島々で埋め立て作戦に乗り出している。ベトナムは新たな広い陸地を既に造成し、本年のある時点で陸地面積において中国を凌駕することになると言われる。他方、アンテロープ礁で中国による新たな埋め立てが進行しているので、中国が恐らくリードを保つであろう。
去る3月、アンテロープ礁での浚渫について問われたベトナム外務省の報道官は、不法だと言明した。中国外務省の報道官は、パラセル諸島は中国の「固有の領土」だと応酬した。
しかし、近年、両国は大体において舞台裏で問題を処理することを選好している。両国外務省がやり合う数日前、両国の国防相はトンキン湾でベトナム海軍の艦艇に乗艦し、中国の艦艇とともに共同パトロールを実施した。
米国の沈黙はもっと驚きである。オバマ、バイデン、一期目のトランプ政権はいずれも南シナ海における中国の争いのある島々の埋め立てに批判的だった。しかし、1月に公表された国家防衛戦略では、将来の焦点は日本から台湾、フィリピン、マレーシアを通る「第一列島線」であるとしている。
パラセル諸島は「第一列島線」の外側になるようである。米国の沈黙は、米国の新たな防衛の外周境界線を超える所では、米国は中国にフリーハンドを与える意図であることの最初の兆候の一つかも知れない。
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様々な「なぜ?」
この記事には、「海洋のミステリー」という副題がついている。南シナ海における中国とベトナムの謎めいた行動をこの記事に則して整理すれば、次の通りである。
何故、中国は静かにしていた約10年を経て、再び大規模な埋め立てによる人工島の造成に乗り出したのか。場所はパラセル諸島(西沙諸島)のアンテロープ礁である。昨年10月に本格的な工事が始まったらしいが、既に面積は1490haを超えており、スプラトリー諸島(南沙諸島)のミスチーフ礁(1504ha)を超えて南シナ海最大の人工島になるとみられている。
