そして、そのようなトランプに対していまだに高い評価を続けるMAGA派についても、「トランプが外国要人の前でサンドイッチを落としたとしても、これは外交的対応力を試すための斬新な圧力手段だったと主張するだろう」と、そのトランプが何をしても支持することをやめない態度をからかった。
2017年の会談との違い
トランプが習近平と米中首脳会談を行うのは二度目である。ただ、今回の雰囲気は前回とは大きく異なっていた。
2017年の米中首脳会談では、トランプの握手はそっけなく、ぞんざいな態度が目立った。会談の最中も、いきなり文脈なく「シリアにミサイルを撃ち込んだところだ」と言い出すなど、あまりのことに習近平が聞き返す一幕もあったほどである。終始トランプが主導権を握り、トランプに振り回される会談で、誰が主人公かは明らかだった。
ところが今回は、最初の握手からトランプの態度は前回とは大きく異なっていた。お互い片手だけで握手した上で、トランプはそこに左手で二度もタップするなど、トランプの側から歩み寄っている姿勢が滲み出ていた。
終始、笑顔があふれていたことも印象的だった。相手を「偉大な指導者」と讃え、生えているバラまで「これまでで最も美しい」とほめそやす、お世辞と笑顔で不動産取引を成功させようとしていたころに戻ったかのようであった。
トランプが習近平のことを、「ハリウッド俳優でも彼のような人物は見つからない」と表現したことは、ホワイトハウスを訪問した大谷翔平に対して「まるで映画スターだな」とコメントしたことを思い起こさせる。ハリウッドスターに擬えるというのはトランプにとって一番の誉め言葉なのだろう。
ただ、そこまで尽くしても望むような「おみやげ」をくれない習近平へのいら立ちが最後に現れた局面があった。エアフォースワンで一行が帰国する直前、空港の誘導路に置かれた巨大なゴミ箱に、中国側からもらった一切のものを捨てる姿がマスコミに報じられた。
捨てられたものの中心は、盗聴や情報漏洩をさけるため現地限定で使用された携帯電話などの電子機器であったが、中には中国側からの贈り物もあった。盗聴器などの電子機器などの危険物をエアフォースワンに持ち込むことを避けるためにすべて廃棄されたのである。
そのようなことを行うのは米国に限ったことではない。ただ、今回際立っていたのは、その模様が公に報じられたことである。
