2026年6月5日(金)

【解剖】中国の対日情報戦略―台湾・FactLinkレポートを読む

2026年6月5日

Weibo投稿数の推移

 Weibo投稿のタイムラインを見ると、11月1日に高市氏が台湾のアジア太平洋経済協力会議(APEC)代表の林信義氏を「台湾総統府資政(顧問)」と呼んだ後、2日間にわたり小規模な議論を引き起こしている。11月7日の高市氏による「台湾有事」発言後の数日間はネット上で大規模な議論は巻き起こらなかった。しかし、11月10日に中国外務省が記者会見で高市氏の発言に初めて言及すると、国営メディアが相次いで投稿を開始し、時事評論のインフルエンサーアカウント(大V)がWeibo上で中国国営メディアの投稿をリツイートし、影響はさらに拡大した。

 高市氏を話題とした議論は、11月17日から19日にかけてピークに達した。その後も日中間の緊張は続き、中国による日本への渡航警報の発出や、日本人アーティストのコンサートが中止に至る事態となった。しかし、議論の全体的な量は減少し始め、11月17日から19日の間の熱量には及ばなかった。

 11月1日から12月6日までの期間、Weibo上で高市氏本人やその発言に関する議論は、北京晩報、中国新聞網、環球時報などの国営メディアによる投稿が占めていた。さらに、中国中央テレビ(CCTV.comおよびCCTV)のメインWeiboアカウントと、海峡両岸メディアプラットフォーム「看台海」の投稿数も、投稿アカウントの上位10位に入っている。

どう拡散されていくのか?

 時系列を見ると、駐大阪総領事の薛剣氏が11月8日に、X上で高市氏に対して「首切り」という物議を醸す投稿を行い、11月9日には駐日中国大使の呉江浩氏も「台湾は中国の不可分の一部であり、台湾問題をどう解決するかは中国人の内政問題である。『台湾に事態が起これば日本にも事態が起きる』と煽り、日本を中国の分裂という戦車に引きずり込もうとするのは、最終的に後戻りできない道へと進むことになる」と述べた。

 しかし、高市氏の台湾有事発言に対し、中国国営メディアやWeiboコミュニティは、駐日中国大使の発言後、数日間反応をしなかった。中国外務省が11月10日の記者会見で政府が公式の方針を定めてから初めて、中国国営メディアやWeiboコミュニティで激しい非難や意見の共有が繰り広げられるようになったのだ。

 中国外務省が見解を明確にする前、Weiboのネットユーザーは駐日の中国外交官の過激な発言に対して、それほど大きな注目や議論を寄せなかった。前『環球時報』総編集長の胡錫進氏のような政界のインフルエンサーや、「小凡好攝」といった民族主義インフルエンサーら「大V」の一部のアカウントが、当日、すぐに高市氏の発言に批判の声を上げたものの、中国の国営メディアは比較的沈黙を守っていた。

 中国外務省が公式な見解を定めた後、CCTVや新華社などの中央メディアは、「高市氏は日本に代償を払わせようとしている」「高市氏は中国国民を敵に回してはならないことを理解すべきだ」といった公式ナラティブを繰り返すようになったのだ。一方、地方メディアである『北京日報』や、香港メディアの『鳳凰網』、そして時事問題に詳しい大Vのアカウントは、既存のナラティブをさらに誇張し、感情的な言葉遣いや陰謀論的な解釈を加えることで、情報にドラマ性と拡散力を付与している。

 もう一つ注目すべきは、国営メディアが別途開設した匿名アカウントが果たす役割である。長年にわたり、中国の国営メディアが別アカウントを保有していることは公然の事実となっている。これらの匿名アカウントは、情報を発信する際により柔軟性を発揮できる。辛辣な言葉遣いでより多くのフォロワーを惹きつけ、影響力を拡大できるだけでなく、必要に応じて公式アカウントと一定の距離を保つことも可能である。


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