2026年6月5日(金)

【解剖】中国の対日情報戦略―台湾・FactLinkレポートを読む

2026年6月5日

 「玉淵譚天」などのアカウントは、早くも2019年にCCTVのセルフメディアブランドであることを認めていた。今回の中国による高市早苗氏の発言に対する攻撃において、玉淵譚天は再び独自の解釈を提供する役割を果たし、愛国心を煽った。

 例えば、25年11月18日に日本外務省アジア大洋州局長の金井正彰氏が中国外交部アジア司長の劉勁松氏と会談した際、中国側は日本側との調整なしに、ポケットに手を入れながら劉勁松氏が金井氏と談話する様子を撮影した。この日本側の事前同意を得ずに撮影された映像は、日本側の不満を招いた。しかし、CCTVは自社のメディアブランド「玉淵譚天」を通じてWeiboに動画を投稿し、より辛辣な言葉を用いて宣伝した。

 動画では、中国側が着用していた「五四青年服」が、100年前に日本に対し「青島を返せ」と抗議した五・四運動の青年の服装と同一であると主張した。言い換えれば、CCTV当局が公には口にできない過激な言辞を、このサブアカウントが代弁しているのだ。

三つの軸で進むプロパガンダ・ナラティブ

 今回の中国のプロパガンダ・ナラティブは、「第二次世界大戦の歴史」「地政学的駆け引き」「女性蔑視」という三つの軸で並行して展開されている。基調としては、過去数年にわたる二つのテーマが依然として主流を占めている。

 一つは、日本が中国にもたらした歴史の災禍と領土問題を再度強調する内容。もう一つは、中国と台湾の絆は血よりも濃いものであると強調しつつ、日本が中国と台湾の民衆の感情を分断・扇動し、さらには台湾独立を支持しているという主張である。

 さらに、高市氏の当選や世界的な政局の変化を受けて、中国の宣伝ナラティブは沖縄やフィリピンをめぐる地政学的駆け引きや「法律戦」を取り上げ、高市氏の女性という立場から派生した女性蔑視攻撃も加えている。

軍国主義の復活と台湾独立を結びつけた歴史的動員

 25年11月から12月初旬にかけて、高市氏を攻撃する投稿において、「日本の軍国主義が対外的な拡張を企てている」ことがメインテーマとされた。これらのメディアの主張によれば、第二次世界大戦時、日本は「国家存亡の危機」を中国侵略の口実とした。現在、高市氏は再び「日本の存亡の危機」を提起しており、歴史が繰り返される恐れがある、としている。

 中国の論調において、「日本の侵略」や「軍国主義の復活」といった主張は、しばしば「日本による台湾独立の助長」と結びつけられている。例えば、中国のグローバル化シンクタンク副主任である高智凱氏は、2024年8月にアルジャジーラの番組に出演した際、強硬派の台湾独立派は第二次世界大戦後に台湾に残った日本人の子孫であり、真に「中国と血の絆を共有する真の台湾同胞」とは根本的に異なると述べた。中国語圏で流布している虚偽の情報は「台湾独立は日本人による百年にわたる陰謀である」と主張している。

 高市氏の「台湾有事」発言もまた、中国の公式発表や多くのWeiboアカウントに「日本と台湾独立勢力が共謀している」という物語を与えるきっかけとなった。例えば北京日報は新華社を引用し、台湾の頼清徳総統と民進党が「高市氏の発言に同調し、日本の反中勢力の代弁者となった。これを機に大陸を中傷・攻撃しており、『外国に依存して独立を図る』ために正気を失っている」と指摘し、台湾を紛争へと進める恐れがあると報じた。

 中国の官製メディアや時事問題のインフルエンサーアカウントは、日本の政治家や台湾のネット有名人が高市氏に反論する内容や台湾市民の抗議の声を大量に引用し、日本や台湾では歓迎されていないという印象を作り出した。例えば、日本の鳩山由紀夫元首相が、「弱い犬ほどよく吠える」という表現を用いて高市氏を「激しく非難した」と引用したり、台湾のネットインフルエンサー「館長」が「我々中国人は自分たちの問題は自分たちで解決する。日本人は干渉すべきでない」と述べたことを引用したりしている。


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