2026年6月25日(木)

Wedge REPORT

2026年6月24日

 角を丸くする「面取り」の工程は当初、機械加工専門の会社に依頼したがうまくいかなかった。T4の再生アルミは、溶かしたアルミをところてんの要領でコの字型に押し出したチャネル材であり、チャネル材には微細な「よれ」がつきものだ。わずか0.1~0.2ミリ程度のよれでも、面取りの機械にかけるとそれが障害になって、きれいな面取りができないのだ。

「最終的に、うち(岩戸)で手仕上げをすることにしました。初めにハンドグラインダーで粗く面取りをしてから、スコッチという束子のようなヤスリなどで手仕上げをすることによって、ようやく優しいR(カーブ)を出すことができたんです」

 キズや錆を防ぐための表面処理である「アルマイト加工」は岩戸の得意分野だが、残念ながら岩戸はプレートのような平面が専門。アルミケースのような立体を加工する設備は持っていなかった。

「そこで、田島製作所という立体もののアルマイト加工ができる仲間の会社にお願いしました。イラストとシリアルナンバーのレーザー彫刻も、現状の取引先には大きなものを加工できるところがなかったので、展示会で知り合った浅草橋の会社(スターポイント)にお願いして、しっかり陰影が出るように、見て、触って凹凸がわかる深さで彫刻してもらっています」

再生アルミケースの絵柄はすべてレーザーによる彫刻で表現されている

グループLINEで溶接ノウハウ共有

 特装版はアルミケースの完成次第、順次発送しているそうだが、全体のプロセスの中で北村さんが最も苦心したのが、溶接だという。

 溶接は4社で担当しており、関わっている職人は合計で6人。この6人が、同じクオリティーの仕事をしなければ商品として成り立たない。所属する会社も経験年数も違う6人の職人は、いったいどうやってクオリティーを一致させていったのだろうか。

「一応、僕が幹事役になって職人さんの横つながりを作っていったわけですが、職人さんの中には社長もいれば一般の社員もいれば社長の息子もいる。会社だけでなく立場もいろいろでしたから、どうすれば仲間意識を持ってもらえるかを考え抜きました。それを考えることが、僕にとってはこの仕事の醍醐味でもありましたね」

 考え抜いた末に、北村さんは溶接チームのリーダーを誰にするかが肝だと確信した。

「優成さんの社長(川崎智美さん)はアルミの溶接がすごくうまいと評判だったので、その人をリーダーに据えれば一番説得力が出るんじゃないかと考えたのです。そこで、6人にグループLINEを作ってもらい、その人のやり方を動画で撮影して共有してもらったんです」

 職人の世界では、やはり腕がいいことが尊敬されるのだ。動画では溶接のやり方だけでなく、治具の作り方から品物を治具に固定する方法まで、微に入り細を穿った解説がほどこされた。それは北村さんも思わず「素晴らしい!」と唸るほど、内容の濃いものだという。

ドクターイエロー再生アルミケースの溶接を行う優成の川崎さん(下写真右)と北村さん。溶接チームのリーダーを務める(WEDGE)

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