2026年6月29日(月)

Wedge REPORT

2026年6月29日

餌は増えたのか?

 いくら出産数が増えても、子グマが育つためには十分な餌が必要だ。クマの餌は増えたのか。雑食性だが、多くの餌は植物性である。

 森の中を歩けば、餌になる植物が増えていることに気づく。戦後の日本の山は、非常に植生が豊かになっている。森林保護も進んだし、近年の温暖化で植物の生長は旺盛だ。

 よく食べるのは液果と呼ぶノイチゴなど軟らかい果実が多いという研究も出た。ほかに若葉や花、根っこ、タケノコ、芋、そしてドングリ……とかなりの広範囲だ。

 スギやヒノキの人工林に餌はないと言われるが、これも現実とかなり違う。林床に草が生えていない人工林などあまりない。草本や広葉樹が繁っている人工林も多いのだ。控えめに人工林の半分がそうだとしても、莫大な餌を提供していることになる。

 そしてスギ、ヒノキなど針葉樹の樹皮はクマの好物でもある。クマが樹皮を剥がしてかじるクマハギ現象は、深刻な林業被害になっている。

クマが樹皮をはがして食べるクマハギ

 もう一つ注目されているのは、シカやイノシシの駆除個体だ。シカもイノシシも増えすぎて農作物被害が深刻なため駆除が進められているが、両者合わせると年間130万頭以上に達する(2024年はシカ73万8700頭、イノシシ64万3000頭)。

 駆除した個体の多くは、山に埋められる。しかしクマは臭いをかぎつけ、掘り起こして餌としていることが指摘されている。肉はクマにとって栄養豊富な餌となっている。

 もしかしたら、肉の味を覚えたクマが、より簡単に得られる肉として家畜や人を襲い始める可能性だって否定できない。

奈良県の和佐又山。木の根っこに空洞があり、冬眠穴になる

 なお筆者がかつて心配した冬眠穴も、樹洞にこだわらず岩の窪みや倒木の下など環境に合わせて利用していることがわかってきた。最近では人間が建設した作業小屋などで冬眠する例も発見されている。冬眠場所に困ることはなさそうだ。


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