2026年6月29日(月)

Wedge REPORT

2026年6月29日

クマが移動する〝ルート〟

 このように見ていくと、クマの生息数増加は必然だったように思える。90年代より増え始めたクマは、2000年代に入り山中で飽和状態となり、新天地としての人里に進出し始めたのだろう。まず農山村、地方都市、中核都市……と範囲を広めている。

 そのルートも確保されている。市街地に出没したシカやイノシシ、そしてクマの地点を衛星写真を使ってチェックしたことがあるのだが、市街地には河川が縦横に入り、その河川敷に緑が繁っていることに気づいた。その近くには公園や街路樹など緑地も増えて「緑の回廊」になっている。これなら侵入しやすい。

 また空き家も増えて、その庭や建物は隠れ家になる。クマにとって市街地は侵入しやすく、隠れ場所も多い新天地だった。

岩手山小屋にあったクマの爪痕。熊は2階に登って侵入していた

私たち市民ができること

 対策はどうすればよいか。当面は出没したらいち早く駆除し、クマに「人里は危険」と覚えさせることが大切だろう。現在のクマは、市街地を安全で餌も得やすい“楽園”と見ているようだ。そんな認識を改めさせ、危険だと覚え込まさないといけない。

 しかしハンターの減少など課題は多い。大切なのは、出没させない予防措置だ。河川敷も含めて草を刈り街との境界線を明確にする。公園などの木々を剪定して見通しをよくする。クマが餌としそうな生ゴミ類を出さない。市民のそうした心がけでクマを誘引しないようにしてほしい。

 長期的には、やはりクマの生息数を減らすしかない。クマと人が棲み分けるためにも、山中に収まっていられる数まで落とすことだ。目先の対策に留まらず、長期的に取り組まないといつまでもクマの脅威は解決しないだろう。

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