従って、豪フィジーの安全保障取極に倣い、まずは、域内各国の安全保障面での団結強化を日豪両国が支援することから始め、段階的に協力を強化していくことを目指してはどうか。また、下述の「要塞化戦略」との関係でも、南シナ海からのミサイル発射により影響を受ける東南アジア諸国に対しても、今後働きかけを強めていく必要がある。例えば、日インドネシアで太平洋島嶼国を支援する「南南協力」等も視野に入れるべきだろう。
日本の原潜との関連
ともかく、今後も中国のこの種のミサイル発射実験が続くことを前提として、豪州と、そして米国も入れ、包括的な戦略を考えるべきだ。その意味では、今回のミサイル発射実験に際し、米国の非難声明の発出が多少遅れたのが気になる。
これは、米国政府内で、対中関係で全体戦略が共有されていない可能性を示唆している。9月の習近平訪米を控え、米中間では具体的取引の内容が「貿易委員会」「投資委員会」等を舞台に議論されているのは想像に難くない。
対中非難に際し、大統領の顔が頭に浮かび本能的に躊躇することも理解できる。しかし、中国が発射実験をしたのは、米国向けのICBMであり、本来最初に非難の口火を切るべきは米国だったはずだ。
最後に、この記事が指摘する海上発射型核戦力の運用における「要塞化戦略」について触れたい。人民解放軍関係者が南シナ海を原潜の「要塞」にすると対外的に発言してから久しい。
要するに、中国にとっては、南シナ海であろうが渤海湾であろうが、中国沿岸であろうが、他国が探知追尾できない中国の防衛線内で潜水艦を活動させ、そこからICBMを発射するということが重要なのだ。これは、戦略3文書改訂の中での論点の一つ、日本が原潜を持つべきかにも関わる。
