これらに対して国有林や補助事業の標準は3000本/haで中間的で、生産目標があいまいなことから批判も多かったが、筆者の経験(四国・九州・関東)では無間伐でも70~80年生で質・量ともに良好な成績だった。3000本/ha植は根拠が薄弱でも、怪我の功名で粗放な施業に向いた適当な植栽本数だったと思う。
まだある。密だと植栽木は陽光を求めて競って上へ伸びようとする。そうすると下枝は光が当たらないので枯れ上がる。結果、通直に伸びて節の少ない材となる。
疎だと下枝を横に広く張って光をたくさん受けようとする。すると下枝は太くなって大きい節が下から残る。
木材の節は、見た目の美しさに大きくかかわる。かつては節の有無が木材の価値を決定づけるほど重要だった。無節材で拵えた和室の美しさが、木材の価値の源泉だった。そのような日本人の木材観が失われてから、木材価格の低迷と林業の不振が続いていると言っても過言ではない。
また、節は木材の強度的欠点でもあるが、集成材や合板に加工することによって解消されるし、一般住宅用の柱ならほとんど問題ないはずである。そもそも外見を重視する高級材でない一般材なら節の有無など知れたものである。
植栽密度は林業家の経営判断
このように植栽密度はどんな木材を生産するかを決める際に、重要な指標となるものであって、国が標準を定めるものではない。それにしても低級材を指向して、植栽本数を減らそうと目論む政策の在り方はいただけない。こんな安物づくりをしていては、永久に日本林業は浮かばれないだろう。
植栽密度など、森林所有者・経営者の判断に任せて、木材生産においても多様性を発揮させるべきである。農業と同じで、国の指導に従っていては、儲かる林業などは有り得ない。
こうして「造林の省力化・低コスト化」について白書を追ってきたが、画期的な現場の作業改善につながるような技術的進化はなく、この方面からのコスト削減へのアプローチが限界に来ていることを改めて知らされた。
