サウジは2015年、UAEとともにイエメン内戦に介入、サヌアを占領したフーシ派攻撃に踏み切った。以来、フーシ派と、サウジの支援で樹立された傀儡の暫定政府との内戦が続いた。22年に停戦が成立したが、実際はフーシ派の後ろ盾であるイランと暫定政府を支援するサウジとの「代理戦争」だった。
しかし、UAEが南部の独立を目指す「南部暫定評議会」を支援するようになると、内戦の様相は複雑さを増した。イラン支援のフーシ派、サウジが援助する暫定政府、そして「南部暫定評議会」の三つ巴の争いとなった。
暫定政府と「南部暫定評議会」の対立はそのままムハンマド皇太子とUAEのムハンマド大統領の確執を表すものになった。最終的にUAEは全軍を撤退させた。
両者はイエメンだけではなく、アフリカのスーダン内戦でも互いに異なる勢力を支援して角を突き合わせた。皇太子はマンスール副大統領との会談で、支援するスーダン政府軍の指導者に電話し、歩み寄りの姿勢を見せたという。
トランプ介入はあるのか
最大の焦点はトランプ大統領がサウジ支援でフーシ攻撃に踏み切るかどうかだ。大統領は「可能性はある。検討する」と述べた。
10日のフーシ派の攻撃で米市民が犠牲になっており、介入に傾いている可能性がある。攻撃すれば限定的であってもイラン戦争の拡大につながり、原油価格が高騰、世界的な株安が起きる懸念が強い。
大統領は「11月3日の中間選挙までイランを攻撃することはない」としており、イランとの水面下での協議を進める方針。しかし米軍は新たに空母を中東海域に派遣し、対イラン戦争には3隻態勢で臨む構え。イラン軍幹部は「攻撃されれば全軍で反撃する」と述べており、中間選挙を機に緊張が高まるだろう。
トランプ政権は軍事的戦争より、海上封鎖をすることによる経済戦争の方が効果的とみている。イランは海上封鎖により、石油の輸出がほとんどできない状態で、経済的窮乏は深まるばかり。ホルムズ海峡経由の石油輸出は現在、米国の安全誘導やシャトルタンカーの運用により、戦争前の水準、日量1600万バレル近くまで回復しつつある。
これに危機感を募らせているのがイランだ。イランは最近、タンカー攻撃を激化させ、10月初めの1週間で8隻のタンカーを攻撃した。海峡を支配しているのは「イランだ」ということを誇示するのが狙いだ。
「イラン戦争が終わらなければ、フーシ派のサウジ攻撃も収まらない」。これがイランのメッセージに他ならない。
