噴火は長引き、全島避難は4年半に及んだが、島民には都営住宅のほか、都市再生機構(UR)や近隣自治体の公営住宅などに入居してもらい、既存の近隣コミュニティーに溶け込めるよう努めた。その結果、今で言う災害関連死も出さなかった。
災害対策は初動で勝負が決まる。応援職員は早くから受け入れること、役割分担をはっきりすること、現場を知る現地市町村の職員を単純労働に使ったりせず調整業務に徹すること、この3点が非常に大切だ。
対応する自治体職員も被災していることが多い。しかし、自治体職員にとって、「災害対応」と「福祉」は最重要業務である。だからこそ、市町村職員に単純労働をさせるのではなく、彼らの本来業務・得意分野に専念させるべきなのである。
過去の教訓を
今後の対策に生かせ
他地域で発生した事例に対して各自治体がより敏感になって対策を講ずることも大切だ。
アンダーパスの自動車水没事故については今年8月に千葉市で、9月には福島県いわき市で犠牲者が出た。東京都では1999年の集中豪雨で東京の山手通り沿いのアンダーパスが冠水したことがあった。羽田空港トンネルが水没したこともある。その対処として、東京都は排水ポンプを増強させた。
「東京都は財政的に余裕があるからそのようなことができるのだ」という意見が聞こえてきそうだが、東京都は人口1400万人余と人口規模が大きいだけで財政的に余裕があるわけではない。何に重点投資するかの問題だ。
今回の被害でようやく豪雨時のアンダーパスの危険性について知れ渡ったように思う。政府も冠水事故防止のためのガイドラインを作成するようだ。たとえアンダーパスに排水装置や蓄電装置が完備されていても、それらが浸水被害を受けて機能しなくなるほど激しい豪雨が生ずる場合もある。今年6月の大雨ではまさに、大阪市の「なにわ大放水路」の巨大排水ポンプが水没して機能不全となった。豪雨時のアンダーパス交通規制対策も検討する必要がある。
1999年に広島県で大規模な土石流やがけ崩れが発生し30人以上の犠牲があったことを契機に「土砂災害防止法」が制定され、「土砂災害警戒区域」という制度が生まれた。それにもかかわらず2021年、静岡県熱海市伊豆山では人為的に山の上の方で違法な盛り土がされた結果、20人以上の犠牲者を出す大規模な土砂崩れが発生した。これを受け、22年に「盛土規制法」が制定された。
高度経済成長期には、都市部への人口流入に伴い、強引ともいえるような土地開発が進み、市街地域を増やしてきた。しかし、昨今の気候変動による災害の激甚化を受けて、自治体としては、過去の災害の教訓を生かして新たに制定された土砂災害防止法や盛土規制法を活用して、日頃から規制を強化するなど、きちんと対策することが求められる。
