住民把握が命を救う
デジタル導入に本腰を入れよ
24年に発生した能登半島地震の際、自治体による住民の避難状況の把握が不十分であることが問題となった。現在、マイナンバーカードの普及に伴い、比較的軽易な機器でそれを読み取ることが可能だ。避難所への入退所、他への移動の記録のために、マイナンバーカードの活用をさらに進めるべきだ。
05年に米国で大型ハリケーン「カトリーナ」が襲来した際、南部ルイジアナ州ニューオーリンズ市民は避難漏れが多数発生したことで、1300人以上の犠牲者を出した。一方で、近接するアラバマ州では、住民の避難状況を日頃からデジタルで管理し把握していたことが、被害者を二人に抑えることにつながった。当時、私はニューオーリンズの復旧・復興を手伝ったが、日頃からの自治体の備えや訓練により大きな差が出ることを痛感した。
大災害時には、毛布・食料・水・クーラーなどの支援物資が全国から大量に届く。これらの物資の配付が滞ることがたびたび報道されるが、それを避けるために、受け入れ・在庫管理・払い出しについては既に電子化してシステムで管理する先進的な取り組みを行う自治体も増えている。それらのシステムを、他自治体と共有化することも大切だ。
早期の応援やボランティアは
重要な即戦力
他地域からの自治体職員の応援は、避難所管理、保健衛生業務、罹災証明発行など各種業務で即戦力となる。一方、民間の電力、通信、運輸、土木建築など事業者も重要な即戦力だ。
また、全国からのボランティアも、避難所の運営や被災者宅の片づけなど、大きな戦力となる。近年、「受け入れ体制が整っていない」などの理由からボランティアの受け入れが遅れるケースがみられるが、被災自治体は躊躇せず、早い時期にボランティアを受け入れるべきだ。
これらの活用も含め、他の自治体による過去の成功・失敗の具体的な事例による教訓を、全国の自治体の今後の対策に生かすことが非常に大切だ。危機管理の演習に関しても、本部運営訓練や避難訓練と並んで「事例演習」のウェイトが高い。災害は激甚化しているが、人類の叡知も進化している。これらを集結させ大いに活用すべきだ。
