輸出価格で分かる日本の愚かさ
上の表は、日本のサバ輸出価格(8月)とノルウェーサバの日本向け輸出価格を比較したものです。約3.5倍もノルウェーサバの輸出価格が高くなっています。そして日本のサバの輸出価格を示したのが下のグラフです。
今から10年前は、キロ100円前後だった輸出価格が2~3倍に高騰していることが分かります。魚価が高騰しているので、漁業者としては日本では食用にならない幼魚だろうと、とにかく獲れば高い魚価となる環境です。
ノルウェーサバは日本円でキロ900円前後の超高値の輸出相場になっている一方で、日本のサバは高騰しているといっても、サバの国際相場と比較すると非常に安値になっています。このため、世界から日本の安いサバを求めて引き合いがきています。
円安で輸出がしやすいどころの話ではありません。このまま「高値で売れる!」でサバ漁を続けたらどうなるでしょうか?
気付かねばならない違い
なぜ同じサバなのにノルウェーと日本のサバの輸出価格は3.5倍もの差があるのでしょうか? ノルウェーでは、漁船ごとに実際に漁獲できる数量より、かなり少ない漁獲枠が配分されています。そこには品質面での2つの大きな違いがあります。
ひとつは配分される漁獲枠が小さいことで、日本人が高く買わない脂がのっていない時期は漁獲しません。漁獲は脂がのる秋から冬にかけて集中します。春から夏にかけては、産卵で卵と白子に栄養分が取られてしまうので、脂がのらずおいしくありません。
もうひとつはサイズです。冒頭の写真のような20センチ前後で重量が200グラム前後しかないサバの幼魚は、加工に向かず、かつ脂がのりません。サイズが400~500グラム前後あれば、脂があまりない時期でも、缶詰などの加工に向けることができなくもないです。しかしながら、脂がのらないサバの幼魚は、国内の食用向けには売れず、養殖のエサか輸出向けくらいにしかなりません。
輸出向けには、とにかく安い魚が必要という市場が、西アフリカ主体に存在します。そのマーケットは小さくても、価格が安いという唯一の理由で日本のサバに引き合いがきています。10年前は100円だったサバの輸出価格がたとえ2~3倍、もしくはそれ以上になっても、ノルウェーを主体とする今の大西洋サバに比べれば、かなり安いのです。
日本の場合は漁獲枠が実際に漁獲できる量より多く、実質獲り放題になっています。このため、脂のりの有無に関わらず見つければ獲る「親の仇と魚はみたら獲れ」となってしまっています。なおこれは、漁業者が悪いのではなく、水産資源管理制度の問題です。


