2026年11月5日(木)

教養としての中東情勢

2026年11月5日

 第3のシナリオは大連立だ。アイゼンコット氏がリクードを引き入れて安定政権を組む構想だ。

 だが、第1党の党首であるネタニヤフ氏が自らの首相を要求するのは必至。首相の交代制という考えもあるが、かつてネタニヤフ氏は有力政党の党首だったガンツ元参謀総長と交代制で首相を務める合意を結んだが、自分が首相を務めると、ガンツ氏にその座を渡さなかった。ネタニヤフ氏に信頼性がないため、アイゼンコット氏は拒否する公算が強い。

イラン攻撃後に再選挙

 ネタニヤフ首相は新内閣が発足するまで「暫定首相」であり続ける。野党側の混乱を尻目に、「選挙が盗まれた」と主張し、その間に反ネタニヤフ派の切り崩しを進めたい考えだ。

 19年権力の座にある首相はこれまでにも幾多の政治危機を乗り越えてきた。海千山千の手腕を発揮するのはお手の物だろう。

 地元メディアなどによると、ネタニヤフ氏は10月初めにトランプ大統領にイラン攻撃を持ち掛けたが断られたとされる。大統領はこれまで、中間選挙が終わった後にイランを攻撃する可能性を示唆してきた。上下両院とも与党共和党が民主党に敗北したとはいえ、トランプ大統領は選挙に影響がないとして攻撃に踏み出すかもしれない。

 単独でもイラン攻撃を仕掛けようと考えているネタニヤフ首相にとってはベストな展開だろう。イラン攻撃再開で国家的危機を作り、一丸となった体制の必要性を訴える。国民の危機感の高まりにアイゼンコット氏らを閣内に取り込んで挙国一致内閣を発足させようとするのではないか。

 挙国一致内閣が発足しないまでもイラン攻撃後に再選挙を実施し、膠着状態を打開しようと図る可能性もある。すでにイラン攻撃の計画は完了、イラク上空で演習を繰り返していると伝えられている。

 首相にとって困るのはトランプ氏がイランと和平合意を結んでしまうことだ。同氏が最近「イラン攻撃の計画はない」と語っているのも気掛かりだ。首相がどうやってトランプ氏を誘い込むのか、その手練手管に注目が集まっている。

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