2022年7月3日(日)

日本の漁業は崖っぷち

2015年2月6日

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片野 歩 (かたの・あゆむ)

水産会社社員

東京生まれ。早稲田大学卒。2015年水産物の持続可能性(サスティナビリティー)を議論する国際会議シーフードサミットで日本人初の最優秀賞を政策提言(Advocacy)部門で受賞。1990年より、最前線で北欧を主体とした水産物の買付業務に携わる。特に世界第2位の輸出国として成長を続けているノルウェーには、20年以上、毎年訪問を続け、日本の水産業との違いを目の当たりにしてきた。著書に『日本の水産資源管理』(慶應義塾大学出版会) 『日本の漁業が崩壊する本当の理由』『魚はどこに消えた?』(ともにウェッジ)、『日本の水産業は復活できる!』(日本経済新聞出版社)、「ノルウェーの水産資源管理改革」(八田達夫・髙田眞著、『日本の農林水産業』<日本経済新聞出版社>所収)。

 甘エビも大きさにより価格が大きく異なります。漁獲に占める小型エビの比率が減り、大型エビが増えれば、単価の上昇により水揚げ金額が上昇してきます。個別割当制度でなければ、小型のエビを獲らないなどという選択肢はなかったわけですが、漁船ごとに漁獲量が厳格に決まれば、単価の安い小型のエビを避ける方が賢明です。

個別割当制度に対して漁業者は当初反対するのが普通です。「漁獲量が制限されるなど、とんでもない」と。しかし、その導入とともに資源も経済も安定・向上し、結果がでてくるので、漁業者の方から「なぜもっと早くからこの制度にしなかったのか?」ということになっていきます。新潟でも同様の意見が強まってくることでしょう。必要なのは、正しい情報の提供です。手遅れになってしまっては遅いのです。

 ノルウェーを始めとする漁業先進国では、漁獲数量が厳格に決まっており、かつ物理的に漁獲できる数量よりも、漁獲枠の方が少ないので、価値が低い水産物の漁獲を極力避けようとします。結果として水揚げされる水産物は、そのシーズンの中で大型のものが水揚げされることになり、水揚げ高も上昇することになるのです。新潟での資源管理は、日本における個別割当制度(IQ)のモデルケースになることが期待されています。

 しかし残念なことに、日本では漁業者から不満が出にくくするために、実際の漁獲量よりも大きいTACが設定されるケースが多く(第14回)、結果として効果に期待が持てません。繰り返しになりますが、このやり方では資源面でも経済面でも意味がありません。新潟の甘エビや、前述の米国のホッケの資源管理の例等が参考になり、日本のホッケも米国同様に資源が回復し、再び大きなホッケが出てくる仕組みづくりを、すでに成功している漁業先進国から学び続けることが、水産日本の復活、地方創生につながっていくのです。

  
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