王は、腐敗への対処として、先ず、恐怖を植えつけ、次に、法の支配を強化して不正行為を行うこと自体を難しくし、最終的に、中国の政治文化を変え、役人が賄賂をとることを考えないようにする、と言っているが、今あるのは恐怖だけだ、と報じています。
出典:‘The devil, or Mr Wang’(Economist, March28-April 3, 2015, p.34-35)
http://www.economist.com/news/china/21647295-chinas-second-most-powerful-leader-admired-and-feared-devil-or-mr-wang
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今日、習近平体制下で行われている反腐敗・汚職運動はそろそろ終息期を迎えるのではないかというのが一般的な見方でした。しかし、実態は、さらにより厳しくなりつつあると、エコノミスト誌の本論評は指摘しています。
反腐敗運動の指揮を取る王岐山政治局常務委員が規律委員会主任として、共産党幹部、国営企業幹部、捜査官らを対象に「恐怖政治」を敷きつつあると言います。それだけ中国内部における腐敗汚職の広がりは根深いということです。
反汚職運動のポイントは、つまるところ、共産党の利権集団化と言うメカニズムにどこまでメスを入れられるかでしょう。中央、地方政府にはびこる腐敗幹部たち、軍内では金で階級が上がって行くシステム、家族に外国の国籍をとらせて海外に蓄財し、自分は国内で働く「裸官」などは一党独裁体制の宿痾と言えるでしょう。
なお、本論評中、今日の反腐敗運動は、「単なる政治的報復ではなく、」という箇所には、必ずしも納得できない点があります。それは、今回の運動の摘発の主たる対象者のなかには、習近平や「太子党」に近いグループの人たちは含まれず、ほとんどが、江沢民か胡錦濤のグループに近い人たちであると見られる点です。
その意味では、今回の反腐敗運動は、権力闘争に腐敗撲滅と言う要素の加わったもの、という見方がより適切ではないかと思われます。今日の中国共産党の実情を見れば、「太子党」のみが清廉であるとは到底考えられません。
今後、摘発の対象者のなかに「太子党」のグループが含まれるかどうか、「恐怖」を与える抑圧に対し党内でいかなる反発がでてくるか、などはとくに注目すべき点でしょう。
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