本来、FITで得られる再エネ拡大の便益は、電力需要家のみならず国民全体で得ていることを鑑みると、一般財源化を第一に検討すべきである。これにより、税の規律である簡素・中立・公平の原則に基づき、社会保障、教育、国防などとの比較において、FITの費用負担が妥当なのか、本当に維持・拡大すべきかといった議論が国会でなされるからである。
また、一般財源化することにより、財務省や会計検査院、あるいは総務省の政策評価等の何らかの査定を受けることとなる。
現在、FITの買取価格は国会同意人事に基づく有識者5名による調達価格等算定委員会が算定し、賦課金単価は当該年度の買取総額を事前に予測した上で定めている。この運用には恣意性はないものの、買取価格の妥当性の検証や、毎年度の賦課金収支の運用状況等、効率性と透明性の改善余地はある。租税負担であれば、第三者機関の査定が可能となる。
ただし、公債残高800兆円を超える等の我が国の財政赤字の現状を踏まえると、現実的なセカンドベストとして、地球温暖化対策関係予算を見直して、ここからFIT買取原資を捻出することも検討対象になるだろう。
実は、日本における地球温暖化対策関係予算の総額は既に年間2兆円を超えている。その内訳は、国の予算は8349億円、地方公共団体のそれは1兆1829億円(国庫支出等の特定財源を含めると1兆6500億円)に達する。問題は、税収と使途の実績が不明確なため、個別事業が政策目的に応じた費用対効果(例:CO21トンあたりの削減コスト)が得られているかの検証が不十分であることだ。
総務省は今年3月、CO2排出削減の18事業、予算額1117億円に対する行政評価を行ってその有効性の低さを指摘したが、全体から見ればごく一部の検証にとどまる。
中には、本来の目的は別なのだが、経緯上、温暖化対策に分類されてしまった事業もあるだろう。そのような政策は、本来の目的に照らして、その是非を厳格に問うことが第一だ。その上で、温暖化対策に寄与すると言うならば、費用対効果も検証すべきである。
賦課金を電気料金に加算する現行方式は、電気料金の本来あるべき水準を歪めるため、ドイツ等でも租税負担の議論が始まっている。FIT後発国である我が国には、先発国の抱える悩みを学び、先取りして解決していく賢明さが求められる。
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